治療・予防

若年で心筋梗塞発症も 
頻度の高い遺伝病―家族性高コレステロール血症 順天堂大学医学部付属順天堂医院循環器内科 岩田洋准教授

 血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール、以下LDL―C)値が生まれつき異常に高く、若いうちから動脈硬化が進行する「家族性高コレステロール血症(FH)」。30~50歳代で心筋梗塞や狭心症を発症する危険性が高いが、早期に治療を開始すれば予防は可能だ。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)循環器内科の岩田洋准教授に聞いた。

 ▽特徴的な症状と家族歴に注意

 FHは遺伝病で、父と母から受け継いだ遺伝子の両方に異常がある場合を「FHホモ接合体」、片方に異常がある場合を「FHヘテロ接合体」と呼ぶ。ホモ接合体は極めてまれな疾患だが、比較的軽度のタイプであるヘテロ接合体は日本人の300~500人に1人に認められ、最も頻度の高い遺伝病とされる。

 岩田准教授はFHの発症メカニズムについて、「LDL―Cは肝臓の細胞表面にあるLDL受容体というタンパク質によって細胞の中に取り込まれ、分解されます。FH患者はLDL受容体の遺伝子やこれを働かせる遺伝子に異常があり、LDL―Cが細胞に取り込まれず血液中にたまってしまうのです」と説明する。

 診断基準では、〔1〕血中のLDL―C値が1デシリットルあたり180ミリグラム以上〔2〕アキレスけんや皮膚に黄色腫が見られる〔3〕両親、祖父母、兄弟姉妹などにFHか、男性なら55歳未満、女性なら65歳未満で心筋梗塞や狭心症を起こした人がいる―のうち二つ以上が当てはまるとFHとされる。

 ▽早期発見・治療で改善

 FH患者は動脈硬化が早く進行して血液の流れが悪くなり、FHでない人に比べて20年以上早く心筋梗塞などを起こす。
 治療法は、まずコレステロールの合成を抑える脂質異常症治療薬スタチンを用いてLDL―C値を下げる。スタチンで十分な効果が得られない例もあり、その場合は他の薬剤を併用する。2016年に登場した「PCSK9阻害薬」という注射薬は、LDL―C値を低下させる効果が高い。

 「薬物治療を早期に開始し、速やかにLDL―C値1デシリットルあたり100ミリグラム未満を目指します。並行して、高血圧、糖尿病、喫煙などの危険因子を取り除けば、若年での心筋梗塞などの発症を防ぐことができます」と岩田准教授。

 FHと診断された場合は「薬物治療と併せて、脂肪分やコレステロールが多い食べ物を避ける、運動して肥満にならないように努めるなど、生活習慣を改善しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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