治療・予防

「自傷他傷」に至ったケースも
子供の心に「コロナの傷」

 「自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるってしまう」「最近、集中できない」―。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う自粛や休校で、少なからぬ子供たちが強いストレスを受け、精神的な「傷」を負っている。そんな実態が、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の調査「コロナ×こどもアンケート」で明らかになった。同センターは「おとな以上に子供たちは、不安や困りごとを抱えているかもしれない。心理社会的影響は中長期的に続く」としており、子供たちを注意深く見守る必要を訴えている。

国立成育医療研究センター調査報告を基に作成

 ◇75%にストレス

 調査は、全国一斉の休校やその後の在宅生活が、子供たちに与えたさまざまな心理的影響やストレスについて、4月30日から5月末までインターネットを通じて実施。7歳から17歳の子供2591人、0歳から17歳の子供の保護者4750人から回答を得た。

 調査報告によると、「全体の75%に何らかのストレス反応・症状がみられた」。具体的なストレス反応に関しては、「自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるうことがある」という回答が小学生1~3年で16%、同4~6年で10%あり、一部の小学生に精神的なケアが必要になっている実態が示された。

 ◇孤独を感じる小学生も

 このほか、「コロナのことを考えるといやな気持ちになる」が小学生1~3年の47%。「最近集中できない」が小学生4~6年の40%、高校生の42%にあった。

 また小学校1~3年の18%が「だれかと一緒にいても、自分はひとりぼっちだと感じる」と回答。中学生の66%、高校生の80%がソーシャルメディアを通じて友人との連絡を取っていた一方で、小学生は「(友だちと)会ったり連絡をとったりはしていない」が最多で、孤独感の要因をうかがわせている。

 調査を統括する同センター社会医学研究部の半谷(はんがい)まゆみ研究員は「十分な説明もなく学校が休校になったことで、子供たちが納得できなかったこと。子供の心のケアに対する対応が遅れがちだったことが(ストレスの)背景にあるのでは」と分析している。

 ◇「コロナ」は隠したい?

 同センターは6月15日から7月19日(回答締め切りは7月26日に延長)まで第2回調査を実施。6月29日までの中間報告によると、緊急事態宣言解除を受けて学校が再開された後の登校・登園状況について、「ほぼ通常通りに行った」との回答は52%。「通常よりは頻度や時間が少ないが行った」との回答が23%。自粛や閉園・休校で「行かなかった」の回答も計6%あり、子供たちの日常が完全には戻っていない実情が示された。

 また、「コロナになったら秘密にしたい?」との問いには子供の34%、保護者の29%が「そう思う」と回答。「コロナになった人とは治っても付き合うのをためらう」かどうかは、子供が22%と答えた。

 ◇学校に行きたくない

 子供たちは、新型コロナの拡大について自由回答でどんな声をあげたのか。「コロナにかかるのが怖い。学校に行きたくないと思ってしまう」(11歳女子)「どうしておとなはたくさんあつまってもいいの」(7歳男児)「先生に宿題が多すぎるし、7時間目が大変って言いたい」(10歳女子)。

 調査について半谷研究員は「これまでの災害時の調査でも、被災後ある程度回復しても子供の心へのケアは必要と指摘されている。今回のように長期間にわたる新型コロナの流行が、子供たちにどんな影響を与え、どのような対策が必要になるのか。調査を続けていくことで少しでも明らかにしていきたい」と話している。(喜多壮太郎)


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