教えて!けいゆう先生

病気になった方への助言
本人を苦しめることも(外科医・山本健人)

 病気になった患者さんと話すと、実は「身近な友人や親族からの助言が悩みの種になっている」というケースが意外と多いことに気付きます。

 例えば、「病気に効果があるという話を聞いた」と言って友人から健康食品やサプリメントを勧められたり、親族から体操やマッサージを勧められたり、といった事例はよくあります。

 中には、
「その病気では〇〇病院が有名だから一度行ってみてはどうか」
「〇〇先生が名医と言われているから、一度かかってみてはどうか」

といった助言をされるケースもあります。

 もちろんこうした行為は、「病気にかかった方の力になりたい」「何とか助けになりたい」という善意によるものでしょう。その思いを否定するつもりはありません。

 しかし、病気になった患者さんご本人にとっては、必ずしもありがたいとは言えないことが多いのです。

病気の方に、どう接すべきか

 ◇感謝の念が負担になることも

 病気になった患者さんは、担当の医師からの助言に耳を傾け、治療に必要なことを一つ一つ前向きに取り組んでいこうとしています。ところが、そこに「病気に対して〇〇した方がいい」という情報が次々に入ってくると、大きなストレスになってしまうのです。

 見知らぬ販売員からの宣伝なら、あっさり断ってしまえば済む話でしょう。しかし、親族や親しい友人で、自分のことを心配してくれて、あえて手を差し伸べようとする人からの誘いなら、「むげに断るわけにはいかない」と感じてしまう方も多いのです。

 中には、大枚をはたいて高額な健康商品をプレゼントしてくれる友人もいます。その善意に感謝の念を抱けば抱くほど、患者さん本人は「期待を裏切ることはできない」という思いを強くします。結果として、これが患者さんの大きな心理的負担になってしまいます。

 では、患者さんの周りの方はどのように接するのがいいのでしょうか。

 ◇「いつも通り」のありがたさ

 実は私自身、3年ほど前に病院に約1カ月入院したことがあります。その際、多くの友人や先輩・後輩が病室を訪れてくれたのですが、何よりありがたかったのは、誰もが「いつも通り」であったことでした。

 職場の近況報告や身の上話をしてくれたり、私の不安を聞いてくれたりしましたが、特別に何かを私に施そうとする人はいませんでした。忙しい中、わざわざ見舞いに来てくれたことに対しては申し訳なく感じたものの、それ以上の気遣いをしなくて済んだことは、私にとってありがたいことでした。

 たとえ専門家であっても、全くの第三者が、医学的な面で本人の「役に立つ」ことは困難です。それよりも、いつも通りに会話し、いつも通り接することが、ご本人にとって何より大きな助けになることがあるのです。

 誰もがいつ、親しい友人や親族の病気に直面するか分かりません。この話を頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。(了)


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