治療・予防

5人から感染力強いコロナ変異種
日本の備えは大丈夫か?

 新型コロナウイルスは、強い感染力と発症前からウイルスが飛散するという特性のために、パンデミック(世界的流行)を起こしている。英国でさらに感染力の強い変異種が確認され、感染加速が危惧されている。25日には、英国から日本に到着した男女5人から、新型コロナウイルスの変異種が確認された。

 英国は一度はやめた都市封鎖(ロックダウン)を再開し、欧州各国も英国からの航空便や物流を停止するなど、影響は一段と深刻になっている。専門家は「日本でも変異種への備えをするべきだ」と強調する。

再びロックダウンされたロンドンのアーケード街(EPA=時事)

 ◇現状を上回る感染力

 新型コロナウイルスは人間に感染して細胞に入り込み、自身の遺伝情報であるRNAを複写することで増殖する。RNAは比較的変異を引き起こしやすく、変異が起きたウイルスは、人の細胞により入り込みやすくなる。感染力を評価する指標である「1人の患者から何人に感染するか」という「実効再生産数」は、世界保健機関(WHO)が「既存の新型コロナより0.4高い、1.5~1.7に達している 」と評価する。

 海外の感染症に詳しい東京医科大学病院(東京都新宿区)渡航者医療センターの濱田篤郎教授は「12月22日時点では、重症化を招くリスクを示す病原性がまだ分からない。病原性が高くなくても、感染力が高くなれば患者が増え、医療機関への負担が増す。医療崩壊のリスクは高くなる」と警戒する。

英国の航空便にも影響が出た(ヒースロー空港、AFP=時事)

 ◇ワクチンの有効性不明

 英国や米国などで接種が始まったワクチンは、これらの変異種に有効なのだろうか。濱田教授は「有効かどうかはまだ不明だ。今後のフォローが必要になるだろう」と話す。

 日本政府は12月24日以降、英国からの新規入国を受け入れないことを決定。英国から帰国した人たちに対する検疫の再強化も実施した。ただ、濱田教授は「英国だけでなく、欧州各国やオーストラリアでもこれらの変異種の存在が確認されている。英国以外からの患者流入が危惧される」と言う。

 ◇渡航制限せぬ国に注意

 現在の日本では、入国時の検疫は遺伝子の変異まで確認できない抗原検査で行われている。より精度の高いPCR方式に切り替えた上で、変異種の流行が疑われる国から入国した感染者については、遺伝子型の特定まで行わないと変異種を見つけ出すことが難しい。

 「水際対策と同時に、国内での感染者の出現に備えて、遺伝子変異の有無まで確認する検査体制を構築していく必要もある。その意味で、今後のコロナ対策では変異種が大きな課題になる可能性がある」と濱田教授は強調している。(喜多宗太郎・鈴木豊)

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