治療・予防

腎機能が低下している人は要注意
自覚しにくい高マグネシウム血症(なかもずクリニック 熊谷天哲院長)

 マグネシウムは体内に存在するミネラルの一種で、骨や歯を形成する、体の調子を整えるなどの役割がある。しかし、過剰に摂取したまま、体外に排出できない状態になると、血中のマグネシウム濃度が上昇して重大な症状を引き起こす「高マグネシウム血症」を発症することがある。症状や予防について、なかもずクリニック(堺市)の熊谷天哲院長に聞いた。

マグネシウムを多く含む食品

マグネシウムを多く含む食品

 ▽主な原因はマグネシウム製剤

 ミネラルは健康に不可欠な栄養素だが、過剰摂取すると健康に被害を及ぼす危険性がある。通常はマグネシウムを食品や薬剤などから取り過ぎても過剰分は尿中に排せつされるため、高マグネシウム血症になることはない。注意したいのは腎機能が低下している人や、胃腸炎などマグネシウム吸収を促進する可能性のある腸管疾患がある人が胃薬や下剤などマグネシウムを含有する薬剤(マグネシウム製剤)を使用する場合だ。

 通常、血中マグネシウム濃度は1デシリットル当たり1.8~2.4ミリグラムに保たれている。それを超えると高マグネシウム血症となり、一般に4~6ミリグラムで低血圧吐き気嘔吐(おうと)、皮膚潮紅(顔が赤くなる)、尿が出にくい、昏睡(こんすい)、徐脈などの症状が表れ、10ミリグラムを超えると手足のまひ、心停止といった危険な状態に陥る。

 症状を自覚しにくく、気付いた時には中等度から重度の高マグネシウム血症になっていることが多いため、症状が表れたら迅速に内科または腎臓内科を受診する必要がある。腎機能が比較的維持されている人では、マグネシウム製剤を中止すると多くは回復するが、腎機能障害が重度の場合は入院して、一時的に血液透析を行ってマグネシウムを除去することもある。

 ▽薬剤の変更などで予防

 高マグネシウム血症の発症を防ぐには、腎機能障害のある人では、下剤や胃薬を使用する場合、マグネシウム製剤の量を減らす、またはマグネシウムを含まない薬剤に替えること。また、マグネシウムを多く含む食品の摂取に注意するようにする。

 一方で、マグネシウムには動脈硬化などを防ぐ作用が知られている。「高マグネシウム血症に注意しながら、適量(通常は成人男性で1日当たり400~420ミリグラム、成人女性で310~320ミリグラム)を摂取することが重要です」と熊谷院長はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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