治療・予防

B型肝炎から子どもを守る
0歳児対象に定期接種化

 2016年10月から、4月以降に生まれた0歳児を対象にB型肝炎ワクチンを原則無料で受けられる「定期接種」が始まる。B型肝炎ウイルス(HBV)は、慢性化してキャリア(持続感染者)になると、数十年かけて肝硬変や肝臓がんなどの命に関わる病気を引き起こす。HBVを体内から完全に排除することも困難なため、ワクチンによる予防が重要だ。筑波大学付属病院(茨城県つくば市)小児科の須磨崎亮教授に話を聞いた。

 ◇集団生活でも感染

 厚生労働省によると、日本には110万~140万人のB型肝炎のキャリアがいると推定されている。HBVの感染経路は、出産の際に母親から産道で感染する母子感染(垂直感染)、HBV感染者の血液や体液に触れることによる水平感染の二つがある。
 1986年には、HBVキャリアの妊婦から生まれた乳児に対して公費でのワクチン接種が行われるようになり、これ以降母子感染による新規の感染者は大幅に減少した。しかし水平感染では家族間、保育園・幼稚園、学校など集団生活の場でも感染の可能性があることが明らかとなり、全ての乳児を対象として定期接種化が始まることになった。

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