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もやもや気分は家族全体に広がる
~コロナ禍のリモートワーク中は要注意~ 第61回

  ◇気分は伝染する

 緊急事態宣言が継続され、気分がもやもやしている人が増えています。家庭の中の雰囲気が何となくすさんでいる、という悩み聞くことが多くなりました。家族一人のもやもやした気分は、家族全体に広がってしまうものです。一緒にいる人の感情は自分に影響し、数秒から数週間の間で他人が示す感情の変化に感化されてしまうということが報告されています。例えば、大学に入学した新入生を無作為に選び、やや元気のない学生を同室のルームメイトにして過ごした場合、3カ月で元気がなくなっていったという海外の研究報告があります。元気のない学生の気分が伝染してしまうというわけです。

コロナ禍でプロサッカー選手にもうつ症状が急増したと伝える国際プロサッカー選手協会の調査リポート

 イエール大学ネットワーク科学研究所所長のニコラス・A・クリスタキス博士らの「感情の伝播についての研究報告」は、人と人のつながりやネットワークの影響についてその重要さを指摘しています。

 感情は人から人へと伝わっていくのですが、それは相手の表情をまねることで相手の感情を取り込み同調させるからだとされています。友達が幸せな気分で笑えば、その笑いの表情を自分もまねて笑うことで気分を相手と一つにするというわけです。幸せな気分が伝わるだけでなく、先に紹介したように不安やうつ気分も周りに伝わってしまいます。

 ◇父親のもやもや気分は妻と息子に強く影響

 こうしたことからステイホームやリモートワークにより家で一緒に過ごす時間が増えた家族では、一人の不機嫌が全員に伝わりやすいといえます。これは注意が必要です。特に、父親の感情が妻や息子に与える影響は大きいという報告がありますから、家族を持つ男性は、自分のもやもややむしゃくしゃした気分を伝染させない注意が必要でしょう。自分のもやもやを家族にぶつけないようにするための対策をとることが必要です。ちなみに父親の感情は、娘にはほとんど影響しないそうです。妻と息子には気を遣った方がいいですね。

 対策1:「おはよう」を気分よくしてみる

 気分のいい「おはよう」のあいさつは、周囲にいる人の気分に影響します。父親のいい気分は周りに伝わるので、明るく「おはよう」と声掛けすると、周りからもいいあいさつが返ってくる確率が高まります。人は相手の表情を読み取り、それを相手に返すからだといわれています。家族から気分のいいあいさつが返ってくると、自分もいい気分になれるはずです。ちなみに、明るく「おはよう」と声掛けしても家族の表情がよくない場合は、家族の気分がかなり落ち込んでいる目安にもなります。家族の体調などを知るにも、あいさつは役に立ちます。 

富士山の山開きでご来光を仰ぐ登山者。朝陽を体いっぱいに浴びた(2018年7月1日)

 対策2:朝起きたら窓を開けて外の光を浴びる

 このコラムでもたびたび紹介していますが、太陽の光を朝浴びると14~16時間後に脳の松果体から睡眠を誘導するメラトニンが分泌され、睡眠のリズムを保つことが出来ます。リモートワークで生活リズムが乱れがちになるリスクを予防することが大事です。

 対策3:昼間太陽の光で脳機能の調整も

 網膜にあるOPN(オプシン)5という光受容体は、太陽の光に含まれるバイオレットライトに反応して脳の機能に影響し、うつの予防になる可能性があるという研究報告がされています。昼間、小まめに外に出て散歩したりストレッチしたりするなどしてはいかがでしょう。

 対策4:身体を動かす習慣を付ける

 一日中座りっ放しのリモートワークで肩が凝ったり眼精疲労が続いたりすると、筋緊張性の頭痛の原因になり気分が低下します。もやもやした気分の予防には、身体を動かす習慣を付けることが必要です。身体を動かす習慣がある人は、気持ちの落ちこみからの回復力が運動習慣のない人より大きいという研究報告があります。時間を決めてストレッチなどをしてはいかがでしょう。ちょっと身体を動かすと気分がすっきりすることをぜひ試していただきたいと思います。

(文 海原純子)





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