過剰なペット愛に待った
増加するパスツレラ症
人と動物に共通して感染する「パスツレラ症」は、大半がペットとして飼われている犬や猫、小鳥などからうつり、症状が多岐にわたるため気付かれにくい。2000年以降、患者は増加傾向にあり、日本大学医学部臨床検査医学分野の荒島康友助教は「正しい知識を持ち、極端なペットとの接し方を避ける必要があります」と呼び掛ける。
◇犬や猫で高い保菌率
パスツレラ症の原因菌は何種類かあり、哺乳動物や鳥類の口腔(こうくう)内、消化管などに常在し、犬では75%、猫ではほぼ100%の保菌率だ。引っかかれたり、かまれたりすることで人に感染するが、犬や猫がくしゃみをして空気中に飛んだ菌を人が吸い込んで感染する飛沫(ひまつ)感染も少なくないという。
「健康であれば無症状ですが、免疫力が弱っていると体のさまざまな部分に感染し、症状が表れます。40歳以上に多く、50~60代がピークです」と荒島助教は説明する。
ある患者は、毎朝飼い犬に自分の口をペロペロとなめさせていたところ、鼻水や鼻詰まり、副鼻腔(びくう)に大量のうみがたまるなどの症状が出たという。他にも喉の違和感やかすれ声、食中毒や関節炎など多くの症状がある。特に糖尿病などの基礎疾患があると重症化しやすく、死亡例も報告されている。
「目立った変化や特徴的な症状が無く、培養検査で初めて感染が分かります。喉の異常を感じて受診しても病気が見つからず、幾つも病院を回るケースが多くあります」と荒島助教。ワクチンは無く、早い段階でのペニシリン系やテトラサイクリン系などの抗生剤が効果を表すという。「ほとんどの場合、経過は良好ですが、基礎疾患がある人は、病状により重症化し、長引く場合もあります」
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(2017/05/21 12:15)