治療・予防

切り傷の応急処置
~浅い傷以外は受診(一之江駅前ひまわり医院 伊藤大介院長)~

 調理中に包丁やスライサーで手を切ってしまい、流れる血を見て処置に困った経験はないだろうか。切り傷で一之江駅前ひまわり医院(東京都江戸川区)を受診するのは、台所で手をけがした女性や、遊んでいる最中に顎や目の上を切った子どもが多いという。「ご自身で応急処置をした後、できるだけ早く受診していただく方が傷はきれいに早く治ります」と伊藤大介院長は話す。

出血がひどいときは止血を優先

出血がひどいときは止血を優先

 ◇傷にティッシュは禁物

 応急処置はまず、感染の危険を避けるために傷口を水道水で洗い流す。切れた箇所や切った物が汚れていた場合は要注意だ。出血がひどいときは止血を優先するが、その際「ティッシュペーパーや脱脂綿で傷口を覆うと線維が残って危険なので、使わないでください。清潔なガーゼか、なければハンカチを使いましょう」。

 止血は10分を目安に患部を押さえる。手や指のけがなら、心臓よりも高い位置で行うと出血量が減る。幅広く押さえるのではなく、ピンポイントで動かさずに圧をかけるのがこつ。多くは、この方法で血が止まるという。

 血が止まらなければ迷わず受診する必要があるが、いったん止血できても患部を動かせば再び出血するケースも多い。「指のけがなら、隣の指と一緒に包帯などで固定すると、患部を動かさずに済みます。また短冊状に切ったテープを数枚、傷をまたぐように並べて貼ると傷口が開きづらいです」。指の付け根に輪ゴムを巻いて止血することは避ける。

 ◇早めに縫合

 止血したら、純度の高いワセリンで傷口を保護してガーゼで覆い、上からラップや医療用のフィルム剤を巻いて防水する。こうすると傷口の潤いが適度に保たれ、治りが早く傷痕が目立ちにくい。ステロイド軟こうだけの治療は治りが遅れるので使わないこと。また、市販のハイドロコロイド素材を使った保護パッドなら、止血後傷口に貼っておくだけなので簡単だ。

 ただし、異物の混入や感染が疑われたり、傷口が深くがたがたに切れていたりするときは皮膚科、形成外科、外科のいずれかを受診する。

 「汚れた刃物などで切った傷口にパッドを貼り、悪化するケースも多いので、浅い傷以外は受診を勧めます。子どもの傷やよく使う手の傷は、傷口が後から広がり、傷痕が隆起する場合もあります。早めに縫合した方がきれいに治ります」と伊藤院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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