インタビュー

しっかり食べ、軽い運動を
健康で美しくなるダイエット

 ◇夏は鉄分が不足

「ぽっちゃり型」モデルは当たり前の時代に=AFP時事
 ミネラルやビタミンの中で、特に夏の間に注意を払う必要があるのが鉄分とビタミンB群だ。鉄分は汗1リットルの中に0.5ミリグラム含まれ、発汗に応じて体内から失われ不足しがちになる。代謝を促進するビタミンB群が普段より多く消費され、疲れやすくなる。

 「体内に吸収されにくい鉄分の摂取の目安は、1日10~20ミリグラム。たんぱく質と同時に摂取すると吸収されやすく、肉や魚を食べるのが効率的です。ただ単一の食品ですと、牛のもも肉で320グラム、イワシなら14匹。レバー類はよく薦められますが、日常的に多くの量を食べるのは難しいです」

 一方、安易に薬品や市販のサプリメントに頼ることにも問題がある。貧血などの症状に処方される鉄剤は吸収効率が悪い上に、胃の調子を損ねてしまう恐れがる。また手軽に購入できるサプリメントの中には、必要とされる成分量が少ないものもある。

 「貧血までにいかないまでも、鉄欠乏症になっている人は少なくない。栄養療法に詳しい医師を受診して良質なサプリメントを教えてもらうのが一番だが、身近にいない場合はかかりつけの内科医に相談し、意識的に鉄分を多く含む食品を食べるようにしてほしい」と話している。

 ◇夏ばてと混同しない

 無理なダイエットを続けると、最初にめまいや立ちくらみ、体の倦怠(けんたい)感など鉄欠乏症の症状が現れる。「多くの人は夏ばてと思って無視してしまう。しかし、無理なダイエットに成功したとしても、女性なら卵巣活動が低下し、生理の乱れや骨量の低下を招いたりしてしまう危険性もある。将来の不妊や骨粗しょう症のリスクも高くなります」。姫野院長は繰り返し、欧州ではぽっちゃり体型のファッションモデルが注目を集めているなどのエピソードを紹介するとともに、「健康的な美しさ」が再評価されていると強調した。


【用語説明】
 ①栄養療法
 ビタミンやミネラルなどの栄養素を食事から摂取するほか、必要に応じてサプリメントや点滴など高濃度の栄養素を補充し、病気の予防や治療を目指す。「オーソモレキュラー医学」として欧米を中心に発展し、近年日本でも注目され始めている。狭義では極端な栄養不足状態で、消化器の障害、口腔内や食道の熱傷などで通常の食事では必要な栄養を摂取できない人に対してペースト状などに加工された経口補助食品やチューブ、胃瘻(いろう)、点滴などを使って必要な栄養素を補充する治療法。
 ②三大栄養素
 人間が生命活動を営む上で不可欠で、外部から摂取せざる得ない主な栄養素。炭水化物(糖質)とたんぱく質、脂質を指す。このほか、重要な栄養素としてビタミンとミネラルが加わり、五大栄養素ともいわれる。(了)

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