Dr.純子のメディカルサロン
医師に上手に不調を伝えるヒント 第21回
医師との最初の問診は、患者さんと医師との信頼関係を築き、診断の手掛かりと治療方針決定までの大事なプロセス。そこで、初診で医師に不調を効率的に上手に伝える方法を考えてみました。
(1)受診理由の症状を目次で列挙
例えば、熱が出て腰が痛くなり尿が赤い、排尿時に痛みがある、下腹部が痛くなり、下痢をして熱があるーなど、不調を全て話します。
(2)経過を話す
いつからその症状が起こり、どのように対処していたかなどを報告します。
(3)現在治療中の病気の有無、服用している薬を伝える
お薬手帳などあれば持参します。
(4)症状と関連しているかどうか、気になることがあれば伝える
例えば、前の週に海外に行っていた、数日前に○○を食べた、普段アルコールの摂取量が多いなどを伝えます。
(5)既往歴
入院するような病気や手術、けがのほか、高血圧、糖尿病などの慢性疾患。健康診断で指摘されたが、放置していることなどを手短に話します。
症状が少ない場合は、経過を追って話す方が時間短縮になります。多くの症状がある場合は、まず箇条書きのように話す方がいいと思います。
逆に医師が話を遮りやすい条件とは何でしょう。
(1)症状の自己診断
例えば「テレビで同じような症状が○○という病気の危険があると言っていた」「友達が○○ではないかと言っていた」など。自己診断を話すと、医師はまず聞いてくれません。それはプライドではなく、余計な先入観を与えられたくないということと、医師は症状の一つに注目して調べるのではなく、受診者の方の全身状態を見て、総合的に診断を行うので、テレビやお友達の意見はまず役に立たないものです。
(2)何枚ものメモを持ち、話し始めるような場合
中には、症状の時系列を何枚ものメモにぎっしり、熱の上がり下がりまで書いて、最初から読み始める方もいます。これには内心ギョッとするものです。この時系列は、医師の診断には必要がない場合がほとんどです。
大事なポイントを医師は聞きますから、メモは大事にお持ちになり、医師に詳細を聞かれた場合、提示すると診断に役立ちます。
それでは、医師とベストな関係を構築するには何が必要でしょうか。
(1)白衣恐怖を克服する
医師の前に出ると緊張して聞きたいことを話せない。あるいは、遠慮するということも多いものです。そんな時は、受診前にポイントをメモしてください。メモには、どうしても聞き逃せないことを書き留めておきます。
(2)アクティングアウトについて知っておく
アクティングアウトとは「行動化」のことです。私は心療内科の医師ですが、心の問題について受診するクライアントには、最初にこの「アクティングアウト」について説明します。医師に話したいなと思っても、話しづらいことがある。そのような場合、我慢して話さず、帰宅後に物に当たったりします。つまり、行動に変えてフラストレーションを発散したりすることがあるわけです。これが「行動化」です。
そこで、医師に話しづらいことがある場合、その内容については話さなくてもいいので、「話しづらいことがある」ということを医師に伝えておきます。すると、「行動化」を防止できます。
これは心療内科の場合ですが、心の問題でなくても同じです。医師に話したいことがあっても、ちょっと遠慮してしまったり、聞きにくかったりすると、後で妙にそのことが気になり、その病院にかかるのはやめようかと考えたり、医師との関係性がよくなくなったりすることもあります。ですから「どうしてもこれは聞いておきたい」ことは忘れずに、あるいは「まあ、いいか」とあきらめずに、伝えてほしいと思います。
(2018/08/23 10:51)