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第21回 医師に上手に不調を伝えるヒント

 病院の診察室
 外来が混雑していて医師に質問するのを遠慮してしまう。医師が不機嫌で話しにくい。そんな患者さんの意見を聞くことがしばしばですが、米医学雑誌「Journal of General Internal Medicine」の最新号でフロリダ大学の研究者グループが「患者が来院して受診理由を説明している時、医師から中断されるまでの時間は平均11秒」というデータを発表していて、その時間の短さがかなり衝撃でした。

 医師との最初の問診は、患者さんと医師との信頼関係を築き、診断の手掛かりと治療方針決定までの大事なプロセス。そこで、初診で医師に不調を効率的に上手に伝える方法を考えてみました。

 (1)受診理由の症状を目次で列挙

 例えば、熱が出て腰が痛くなり尿が赤い、排尿時に痛みがある、下腹部が痛くなり、下痢をして熱があるーなど、不調を全て話します。

 (2)経過を話す

 いつからその症状が起こり、どのように対処していたかなどを報告します。

 (3)現在治療中の病気の有無、服用している薬を伝える

 お薬手帳などあれば持参します。

 (4)症状と関連しているかどうか、気になることがあれば伝える

 例えば、前の週に海外に行っていた、数日前に○○を食べた、普段アルコールの摂取量が多いなどを伝えます。

 (5)既往歴

 入院するような病気や手術、けがのほか、高血圧、糖尿病などの慢性疾患。健康診断で指摘されたが、放置していることなどを手短に話します。

 症状が少ない場合は、経過を追って話す方が時間短縮になります。多くの症状がある場合は、まず箇条書きのように話す方がいいと思います。

 逆に医師が話を遮りやすい条件とは何でしょう。

 (1)症状の自己診断

 例えば「テレビで同じような症状が○○という病気の危険があると言っていた」「友達が○○ではないかと言っていた」など。自己診断を話すと、医師はまず聞いてくれません。それはプライドではなく、余計な先入観を与えられたくないということと、医師は症状の一つに注目して調べるのではなく、受診者の方の全身状態を見て、総合的に診断を行うので、テレビやお友達の意見はまず役に立たないものです。

 (2)何枚ものメモを持ち、話し始めるような場合

 中には、症状の時系列を何枚ものメモにぎっしり、熱の上がり下がりまで書いて、最初から読み始める方もいます。これには内心ギョッとするものです。この時系列は、医師の診断には必要がない場合がほとんどです。

 大事なポイントを医師は聞きますから、メモは大事にお持ちになり、医師に詳細を聞かれた場合、提示すると診断に役立ちます。


 それでは、医師とベストな関係を構築するには何が必要でしょうか。

 (1)白衣恐怖を克服する

 医師の前に出ると緊張して聞きたいことを話せない。あるいは、遠慮するということも多いものです。そんな時は、受診前にポイントをメモしてください。メモには、どうしても聞き逃せないことを書き留めておきます。

 (2)アクティングアウトについて知っておく

 アクティングアウトとは「行動化」のことです。私は心療内科の医師ですが、心の問題について受診するクライアントには、最初にこの「アクティングアウト」について説明します。医師に話したいなと思っても、話しづらいことがある。そのような場合、我慢して話さず、帰宅後に物に当たったりします。つまり、行動に変えてフラストレーションを発散したりすることがあるわけです。これが「行動化」です。

 そこで、医師に話しづらいことがある場合、その内容については話さなくてもいいので、「話しづらいことがある」ということを医師に伝えておきます。すると、「行動化」を防止できます。

 これは心療内科の場合ですが、心の問題でなくても同じです。医師に話したいことがあっても、ちょっと遠慮してしまったり、聞きにくかったりすると、後で妙にそのことが気になり、その病院にかかるのはやめようかと考えたり、医師との関係性がよくなくなったりすることもあります。ですから「どうしてもこれは聞いておきたい」ことは忘れずに、あるいは「まあ、いいか」とあきらめずに、伝えてほしいと思います。

(文 海原純子)


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