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認知症患者抱える医師99%
日本臨床内科医会アンケート

 ◇「長谷川式」で確認

日本臨床内科医会アンケート調査
 患者が認知症ではないか、との疑いを持った場合にどうするか。日本臨床内科医会のメンバーは、「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS―R)」や米国で開発された「精神状態短時間検査(MMSE)」を実施するという。前者の「長谷川式」は、患者に年齢や当日の日付、今自分たちがいる場所などを聴くもので、診療報酬の対象にもなっている。

 「『何かがおかしい』と感じたり、スタッフから様子がおかしいと告げられたりしたら、HDS―Rで見当をつけ、必要があれば専門医に紹介する」

 「長谷川式テストなどで早期発見し、専門医を受診した後、一般の開業医で継続治療するルートをつくった方が良い」

 「診療中、認知症の疑いがある患者に対しては、HDS―R検査を行うようにしている」

 「来院時に家族に同伴してもらい、様子をよく聴く。本人の診察とは異なるタイミングで。薬が残ってきたという答えがあれば、ルーズになってきている原因として認知症を考え、MMSEとHDS―Rを行うようにしている」

 ◇スタッフの声も大切

 医師だけでなく、患者が受診する医療機関のスタッフによるまなざしも重要だ。受付での対応や診療費を払う時の様子からも、認知症を疑えるケースがある。

 「認知症の場合、『とりつくろい』が多く、短時間の診察ではなかなか判断できないことが多い。予約した日に受診しなかったり、服薬が十分にできなくなったり、怒りっぽくなったりすることで気付くこともある」

 「予約した日に受診しない。受付での対応、支払いの際のお金のやりとりなど、医師以外のスタッフの声を聴いて認知症を疑うことも多い」

 「1人暮らしの人は往診し、日常生活の状況を確認したい」

 「患者が受診した時に、きめ細かい日常的な会話を交わすと良いだろう」

 「細かい診断よりも、独居なのか、誰とどのような生活を送っているかという情報の方が重要だ」

 ◇研修の機会欲しい

 臨床内科医師は日々、認知症と向かい合うだけに苦労も多い。自由回答からはこんな声も聞かれた。
「家族が認知症を疑うことが多く、診断のために専門病院を紹介する。ただ、本人が自覚していない場合は、家族とトラブルになり、主治医が困ることがある」

 「紹介できる病院が近くにあることが必要だ。かかりつけ医が認知症に関して研修する機会があるとよい」

 「認知症の早期発見はかかりつけ医の重要な役割だ。ただ、診察室だけでは情報を得ることは難しく、自宅での状況を把握することが大切だ」

 「より短時間でチェックできる質問票が必要だ。スタッフ、薬局との連携強化、早期に専門医と連携することも重要だ」

 最後に、「マンパワーがない。家族にも、介護者にも、医療関係者にも」という回答も率直な意見だと感じた。(鈴木豊)

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