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見え方多様な色覚障害
暮らしやすい環境づくり必要

 赤色と緑色などの色の区別がつきにくく、日常生活に支障が出ることもある色覚障害。「色が分からない」「白黒に見えている」とよく誤解されるが、必ずしも色覚が劣っているわけではなく、普通の人が見分けにくい色を識別できる人もいるという。東京慈恵会医科大学(東京都港区)解剖学講座教授で自身も色覚障害を持つ岡部正隆さんは「そもそも色の見え方は多様だという理解が必要です」と強調する。

 ▽男性の20人に1人

路線図なども色覚障害者に配慮を

 日本人の中で色覚障害者は男性の20人に1人、女性では500人に1人と、男性の方が多いとされている。色の見え方に違いが出るのは、視細胞が関係している。

 岡部さんは「視細胞は『光のセンサー』のようなもので、通常は、波長の長い光である赤色、短い光の青色、中間の緑色を感知する3種類の細胞があります。色覚障害者には、その一つが生まれつき無かったり、認識できる色が少し異なったりして、見え方が違ってくるのです」と説明する。

 色覚障害での見え方はさまざまだ。例えば、黒色と赤色の見分けがつきにくいため、黒地に赤色ランプで表示された電光掲示板の文字がうまく読み取れない人もいる。程度の差も大きく、生活で困ったことがなかったため、小学校の色覚検査で初めて気付くケースも少なくない。

 ▽微妙な色の見分けも

 色覚障害者が必ずしも色を見分ける力が劣っているわけではない。「色覚障害を持つ子どもが草むらで虫を捕まえるのがうまいというのはよくあること。普通の人には同じに見える緑色でも、色覚障害者には微妙な色の違いまで分かる人がいるためと考えられます」と岡部さん。しかし、自然の中とは違い、人間の生活環境は多彩な色でデザインされているため、色覚障害者は見えにくい状況を強いられている。

 そのため岡部さんらは色覚障害や網膜疾患などで色の見え方が違っても暮らしやすくする「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」を推奨している。最近ではテレビのリモコンのように、色の付いたボタンの近くには「赤」や「青」と文字で記載している商品も広がりつつある。

 岡部さんは「CUDがもっと一般化すれば、色覚障害があっても情報が伝わりやすくなります。多様性に配慮した環境づくりは、誰もが暮らしやすい社会の実現につながります」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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