治療・予防

つながりづくりが鍵-子どものうつ
多様な症状を見逃さないで

 うつは、喪失体験をきっかけに起こることが多い。大人の場合は、仕事を失った、大切な人やペットが亡くなったといった強い喪失体験の後に、食欲の低下や睡眠障害、気分の落ち込みといった症状が表れる。子どものうつも、いじめや虐待など、広い意味での喪失体験後に起こるが、大人とは表れ方が違う。こども・思春期メンタルクリニック(東京都新宿区)の木部則雄院長は「子どものうつの概念は曖昧ですが、症状は多様です」と話す。

元気がない、普段と違うなど、子どもの反応を見逃さないで

 ▽背景に喪失体験

 大人のうつの経過には、ある一定のパターンが見られるのに対し、子どものうつはそうではないことが多い。「子どもにとっての喪失体験は、親の死や虐待、重い病気や災害といった明確なものから、教師や友人からのささいな発言など、大人が気付かないものまで多岐にわたります」と木部院長は説明する。

 喪失体験への反応は、心の成熟度によって異なるが、多くの場合は多動になり、落ち着きがなくなる。大人と違って、暴力やリストカット、自分の髪の毛を抜く抜毛(ばつもう)行動などを示すケースもある。

 子どもの頃の強い喪失体験は意識下で存在し続けるので、後の人生の所々で影響が出る可能性がある。子どものうつ症状を見逃さないためにも、「このごろ元気がない、普段と違う行動を取るなど、子どもの反応には常に注意してほしい」と木部院長は呼び掛ける。

 ▽子どもの目線で対応

 治療では、子どもが自分で抱え込んでしまわないよう、家族のサポート体制はもちろん、外部とのつながりをどうつくっていくかが鍵になるという。例えば、活動的な行事に親子で参加するなど、普段から子どもをどう援助できるかを考えておくことが必要だ。

 「親から見るとばかばかしいと思えることでも、子どもにとっては、年齢に相応した世界なのです。子どもと同じ目線で物事を捉え、共感してあげることです」と木部院長。子どもに向けて「いつも気に掛けているから、何でも相談してほしい」というメッセージを、常に発信し続けることも大切だという。

 木部院長は、悩める子どもとその親に向けて「学校生活や友人関係など、人生の中で失敗はつきものですが、取り返す機会は必ずあるということを忘れないでください」と声援を送っている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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