治療・予防

山でのトラブル―高山病
正しい知識で対策を

 高齢者を中心に人気の登山。日本生産性本部の「レジャー白書2017」によると、2016年の登山人口は約650万人で、ここ数年増えていない。にもかかわらず、高山病患者を含む山岳遭難者は増加傾向にある。高山病などの山でのアクシデントについて、東京医科大学病院(東京都新宿区)渡航者医療センターの増山茂兼任教授に聞いた。

事前に山岳診療所の場所を確認しておけば、いざという時も安心。写真は東京医科大学上高地診療所(同大学病院提供)

 ▽旅行や出張でも

 山での遭難が増えている背景には、高齢登山者の増加があるという。また、携帯電話の普及により、気軽に救助を求める人や、下調べを怠り地図も持たずに入山する人が増えたことも要因として挙げられる。

 高山病は、急に標高の高い場所に行き、酸素が不足することで起こる。主な症状は頭痛、吐き気や嘔吐(おうと)などの消化器症状、疲労感・脱力感、めまい・ふらつき、睡眠障害だ。標高が2300メートルを超えると、発生率は急増する。昨シーズンは、山でのけがや病気に緊急対応をする全国23カ所の山岳診療所を受診した人のうち、28.5%が高山病と診断され、富士山7合目以上の診療所では66.8%に上った。

 見逃せないのは、登山以外でも高山病は起こりうるという点だ。「マチュピチュ(ペルー)やウユニ塩湖(ボリビア)など人気の高い海外旅行先には標高が高いところが少なくありません。出張で訪れた場所が実はかなりの高地で、高山病の症状に苦しむケースもあります」と増山兼任教授。

 ▽水分補給と休養、睡眠

 高地では汗をかきやすいだけでなく呼吸が荒くなるため、体の水分が失われがちになる。意識的な水分補給を心掛けたい。直前まで仕事をしていて疲れがたまっている人や風邪気味の人のほか、睡眠不足や飲酒などでも高山病のリスクは高まる。増山兼任教授は「富士山の弾丸登山などは、これらの条件が重なりやすい」と注意を促す。

 高山病の症状が出たら、安静にして様子を見るのが基本だ。症状が改善しなければ、山岳診療所で受診して医師の判断を仰ぐ。そのためにも、事前に診療所の場所を把握しておく必要がある。

 登山は、日常生活では経験することのない激しい運動だという。高山病の予防には、日常的なトレーニングが欠かせない。また、過去に高山病を経験している人は再発しやすいため、自費にはなるが、予防薬としてアセタゾラミドを処方してもらうのも手だ。

 増山兼任教授は「都会の喧噪(けんそう)から離れ自然に触れるのは、老若男女、誰にとっても素晴らしい経験です。しっかり体調管理して登山を楽しんでください」と語る。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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