FEATURE レポート紹介

高い理念掲げて
=東京の大学で交流「Mi」=

パワーポイントなどを使って発表、議論する

識者を招いた交流会のオフショット。Miのメンバー以外も参加できるようにしている

「まだ見ぬ最高のヘルスケアを発見する」
 東京を中心とする大学生たちが参加する交流サークル「Mi=Medical Innovation(ミイ)」は、こんな高い理念に掲げて活動している。杏林大、北里大、東京医科大、東京薬科大、東京大などの医学部と看護学部のほか、医療系以外の学生らも加わっており、メンバーは72人。自分のやりたいことや将来の夢を、メンバーのサポートやアドバイスを受けながら実現することを目指す。

パワーポイントなどを使って発表、議論する

「福島ツアー」での記念撮影。福島県の現状を学ぶため、これまでに2回訪れた

本音で話せる場所を

「将来の夢を語ると、『意識が高いね』と言われることがあります」
 Miのメンバーの1人、北里大医療検査学科4年 の吉岡紀子さんの言葉が印象的だった。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発達して情報はオープン化したが、本音をさらけ出すのは勇気が要る。2015年4月に発足したMiは、そうした息苦しさを感じる学生にとって救いの場にもなっているようだ。
 サークルの誕生について吉岡さんは「夢を口にできない学生や将来のやりたいことが分からない学生って本当に多いと思います。不安や焦燥感の中で生きる学生たちにとって、考えを共感したり、目標を見つけられたりする『サードプレイス(第3の場所)』を目指しています」と話す。

パワーポイントなどを使って発表、議論する

「福島ツアープロジェクト」の宿舎で意見を交わし合うメンバーたち

自分を見詰める

ベースとなる活動は「Miコミュ」と呼ばれるミーティング。月に2~3回開く。ミーティングを通じて、医療と教育などの大きなテーマに取り組むことがMiの魅力だ。福島県の食文化や現状を学ぶツアーを企画した「たねまきプロジェクト」や、高齢者住宅に来訪してボランティア活動を行う「ひまわりプロジェクト」といった、実践活動に結び付いている。
 「Miは「自己分析」にも力を入れる。
 医療系の学部に進学した学生は、就きたい職業はおぼろげではありますが、将来へのイメージができています。でも、私は『どういう医療従事者になって、誰に何をしたいの?』と聞かれると、答えることができませんでした。それを明確にするのが自己分析です」と吉岡さんは言う。
 Miの自己分析活動では、専用の分析シートを活用し、ゴールを決めることからスタート。ゴールに向かって学生のうちにやるべきことを次々に洗い出していく。先輩メンバーがメンター(指導役)となり、自己分析を助ける。最終的には本当にやりたいことを見つけて、具体的な企画に移していくのが狙いだ。
 メンバーが企画から交渉まですべてを行う「サードプレイス交流会」も面白い。高齢者住宅開設サポートを行う企業経営者やNPO法人代表を招くなどして、これまで5回開催。参加者は延べ1000人以上を数える。

パワーポイントなどを使って発表、議論する

北里大医療検査学科4年の吉岡紀子さん。友人に誘われて加入し、今では中心メンバーの一人だ。

自信を付けるサークル

FacebookやInstagram、TwitterなどSNSを積極活用するなど、Miは発信力にも優れた団体だ。「縛りはなく他のサークルとの掛け持ちも可能。医療系以外の学生も参加しています」と吉岡さん。「ここで新しい自分を見つけ、外に出て行って(活動して)もいい。参加して自分が変わったという学生は多いと思います」
 Miは人間としての“自信を付ける場所”にほかならない。医師であろうが、公務員であろうが、記者であろうが、仕事というものは厳しい。そういう将来に備え、こうした若い人たちの頑張りに期待したい。