医学生のフィールド
中高生の不安をズバリ解消
~現役医学生に聞く医学部必勝座談会~開催報告(前編)
医学部入試は東大・早慶と同じくらい難しいと言われており、その難易度も年々上がってきています。その中でも特に狭き門である大阪大学・慶応義塾大学医学部に見事合格された、中原楊さん(慶應大学医学部医学科2年)・増田奈保子さん(大阪大学医学部医学科3年)による「医学部進学を考える中高生のための座談会」が2月21日にオンラインで開催されました(主催:inochi WAKAZO project)。どのようにして最難関医学部入試を突破することができたのか?その気になる勉強方法やマインドについて語り尽くしていただきました!
司会:森田帆貴(筑波大学医学群医学類1年)、文:中澤有佐(奈良県立医科大学医学部医学科1年)
~高校時代にやっておいた方がいいこと~
中原 まず生活習慣や環境を整え、基礎学力向上に力を入れることが大切です。志望校は自分の好み×学校の特徴で選びます。つまり、偏差値・出題傾向との相性など「入れそうかどうか」と、進級の難しさ・研究力など「入りたいかどうか」の二つの基準から、自分の納得のいく選択をしましょう。
課外活動は、時間をとる分、勉強がおろそかになってしまうと思われがちですが、そうでもありません。課外活動は受験に役立つこともありますし、実際そういった活動をしている人たちの多くは受験にも成功していると感じます。
医学部合格を目指す人には、信頼できる先生を見つけて話を聞くことをお薦めします。時間のあるときやモチベーションを上げたいときは、「合格の天使」というブログも役に立つかもしれません。
また、キャリア選択をする際は、「自分で動いて自分に合うか自分で確かめる」ことが大切です。見るだけ聞くだけでは、自分のイメージが合っているのか・自分が何に向いているのかは分かりません。後悔のない選択ができるように自分から動いてみてください。
増田 できればまず夢や自分がやりたいことを見つけることが大事です。また、夢が見つからなくても、自分は何が好きで何を楽しいと思うかを分析しましょう。そうすることで、自分は将来、何がしたいのかを考えるときにとても役に立ちます。
夢を見つけられた人は、実際に現場に見に行ってみてください。私は高校生の時にさまざまな医療現場の見学に行きました。現場を見ることで実感が湧き、受験勉強の時も、医学部に入ってからも後悔のない選択ができるようになりました。
現場を見るためには、例えば「inochi Gakusei Innovators' Program(*1)」のような医学部生が運営する団体のプログラムやオープンキャンパスなどを利用するとよいと思います。
大学によって在学中に経験できることが異なります。高校生のうちに将来、何をしたいか考えておくことは、大学選びにとても重要です。
~医学部を選んだきっかけ~
中原 昔から人体に興味があり、合法的に人体解剖ができる唯一の学部として医学部進学を視野に入れていました。
高校1年生の時に「inochi Gakusei Innovators' Program」に参加し、医療機器に引かれましたが、情報工学にも興味があったので、高校2年の時に「MITOU JUNIOR」というプログラムに参加しました。その後、工学系に進みたいという気持ちが強くなり、海外大学進学を目指して模擬国連に挑戦しましたが、敗退してしまいました。そこで医学を志していた頃の気持ちを思い出し、医学部進学を決意しました。
増田 もともと生物がとても好きで、高校では生物部に所属していました。高校1年生のときに「inochi Gakusei Innovators' Program」に参加し、医学生など、医学を志している方々との交流が医学部進学を考える大きなきっかけとなりました。
大阪大学に進学した理由としては、西日本で救急が最も強く、自分の将来やりたいこととマッチしていたからです。
~高校生の時の勉強~
中原 高校1・2年生の頃は、授業を除いて一日平均1・2時間勉強していました。そのほとんどは数学・英語に費やし、それ以外の教科は定期試験前の勉強で詰め込みました。高校3年生になってからは、1日の勉強時間は6・7時間に増やしました。そのざっくりとした内訳としては、得意だった英語は1割、数学5割、理科3割、残り1割という感じです。ケアレスミスは、例えば、自分は掛け算をミスしやすかったりすると、それが具体的に何なのか、例えば2×5なのか、7×9なのかまで、自分のミスパターンを分析・記録し、その傾向を知ることで減らすことができました。
増田 私の通っていた高校は公立高校だったので、中学生の頃から大学受験に向けて勉強している私立中高一貫校の人たちには大きく後れを取っていました。「医学部を目指すのなら、そんな人たちの学力に追いつかないといけないんだ!」と焦った私は、inochi学生プロジェクトの活動が終わった高校1年生の秋頃から、主に通っている塾で受験を見据えた勉強を始めました。高校の学習進度があまり早くなかったので、塾で先取りをし、学校の授業でその復習をする、というサイクルを取っていました。普段は、実際の第一志望の大学よりワンランク上の大学を第一志望に設定し、塾でもワンランク上のクラスの授業を受けていました。そうすることで、実際の第一志望がより現実的になると思います。
塾では自分に合った先生を見つけ、その先生の考え方を自分の脳内にコピーし、試験中にそれを復元できるようにしていました。勉強をしていてしんどくなってきたときには、自分の中の明確な目的に立ち戻ることが大切です。「何のために今勉強しているのか?」という問いを自分自身に投げかけ、自分の中で納得する。これができると、モチベーションの維持・向上につながると思います。「私立の賢い人たちがライバルなのだから自分はもっと勉強しなければならない」と思えるような環境に身を置くことも大切です。そういう意味でも塾は大変良い場所でした。
(後編に続く)
(2021/03/08 10:18)