一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏

(第6回)
一流選手とお年寄りの共通点
予防して健康寿命を延ばす

 中村格子氏は30代から40代の初めにかけて、高齢者とトップアスリートを同時期に診てきた。一見、両極端に見える両者の体の痛みには共通点があるという。

 「年を取ったから痛くなるのではなく、よく使うから傷むのです。運動選手は、体を非常によく使っているので、20代ではあり得ないくらいの傷み方をする。予防すると選手寿命が延びます。同様に、一般の人も早い時期から予防すれば、健康寿命が延びるということに気付きました」

 「痛みが出てからではなく、悪くなる前に予防を」と考えた中村氏は、整形外科科長を務める日光市民病院で「腰痛予防教室」などを開催、予防の大切さを訴えた。

 「結局私が目の前で見ている何人かにしか伝わらないんですよね。いつかもっと多くの人に知っていただける機会が欲しいなと思っていました」。その後、日光を去り東京に戻ってきたころ、「本を出版しないか」という話が舞い込んできた。

 ある食事会で出版社の編集者を紹介された。やや太めの編集者が中村氏のスタイルに興味を示し、「どうやったらそんなに細くなれるんですか」などと、しきりに聞いてくる。「これは簡単ですよ。姿勢に気を付けて、腹筋に力を入れて座ってると、自然とウエストが細くなりますよ」と教えると、編集者は食らいついた。

 翌日、早々にメールで送られてきた企画書で誕生したのが、2010年の最初の著書となる「女医が教えるマジカルエクササイズ」だ。

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