一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督
(第5回)プロ1年目で思わぬ壁
スローイングに悩む
「試合中は大丈夫で、悪送球もそんなになかったのです。でも練習の時には、ゴルフのパッティングが打てなくなる精神的な障害『イップス』のようなことが起きていました。イニングの合間に、先輩を相手に内野でボール回しを行う時に、ボールがあちこちに行ってしまう。シーズン中からコーチに早出をしてもらい、キャッチボールの練習をずっとしていました」
1年目のオフに、毎年ハワイで行われていたウインターリーグに派遣されることが決まった。日本や米国、韓国などの若手選手が招集され、約2カ月間、4チームに分かれてリーグ戦を行う。若手の登竜門である。小久保さんは「イップスを克服しよう。投げる方を相当上達して帰って来ないと、これからプロでやっていけない」という必死の覚悟で取り組んだ。
「僕のスローイングが悪いということを、日本人のコーチは全員知っています。僕の弱点を克服するためには、外国人コーチばかりの方が良かったのです。だって、誰も僕のことを知らない、スローイングに悩んでいることも知らないわけですから」
チームには内野の選手が4人しかおらず、全員が外国人だった。「僕はずっとスターティングメンバー。ダイエーでは翌年からセカンドを守るかもしれないと言われていたので、慣れない二塁手としてプレーすることになりました」。しかし、スローイングが悪いという目では見られていない。ボールを投げる相手を、松永浩美さん(三塁手)、浜名千広さん(ショート)=いずれも当時=とひたすらイメージしながら、投げ続けた。
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(2018/08/21 10:00)