「医」の最前線
連載趣旨と略歴
抗がん剤治療による脱毛を防ぐ方法があることをご存じだろうか?2019年3月に厚生労働省が薬事承認した後、2021年版の「がん治療におけるアピアランスケアガイドライン」でも推奨され、科学的根拠のある治療法として注目されている。
患者のほとんどが女性であることなどから、乳腺外科が先鞭(せんべん)をつけた。現在、保険外診療として全国約50カ所で導入されているが、今後は診療科を超えて普及していくことが期待される。
まだ始まったばかりの新しい治療だけに、ひと筋縄ではいかない問題もたくさんある。しかし、さらに技術が向上していけば、抗がん剤治療を受けても脱毛しないという選択肢が当たり前のように提示される時代が必ず来る。試行錯誤を重ねて、ようやく軌道に乗ってきたという虎の門病院化学療法室で、現場の声を聞いた。
【中山 あゆみ】
ジャーナリスト。明治大学卒業後、医療関係の新聞社で、医療行政、地域医療等の取材に携わったのち、フリーに。新聞、雑誌、Webに医学、医療、健康問題に関する解説記事やルポルタージュ、人物インタビューなど幅広い内容の記事を執筆している。
時事メディカルに連載した「一流に学ぶ」シリーズのうち、『難手術に挑む「匠の手」―上山博康氏(第4回・5回)』が、平成30年度獨協大学医学部入学試験の小論文試験問題に採用される。著書に『病院で死なないという選択』(集英社新書)などがある。医学ジャーナリスト協会会員。