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「副鼻腔炎」って何ですか?
~専門医が徹底解説~ 【第1回】

 副鼻腔炎の診断方法:どのように見極めるのか?

副鼻腔炎の正確な診断は、適切な治療を行う上で重要(イメージ画像)

副鼻腔炎の正確な診断は、適切な治療を行う上で重要(イメージ画像)

 副鼻腔炎の正確な診断は、適切な治療を行う上で非常に重要です。診断には複数の方法が用いられますが、ここでは主な診断方法について詳しく説明します。

 問診:症状の経過や重症度、過去の病歴を聴取

 診断の第一歩は、詳細な問診です。症状の原因を特定し、適切な治療法を選択するため、医師は以下のような点を質問します。

 ・症状がいつから始まったか

 ・症状の程度や変化

 ・過去に同様の症状を経験したことがあるか

 ・アレルギーの有無

 ・喫煙歴や職業環境

 身体検査:鼻腔の状態を視診し、圧痛や腫れなどの兆候を確認

 問診の後、炎症の程度や範囲を評価するため、医師は身体検査を行います。主に以下のような点をチェックします。

 ・鼻腔内の状態(腫れや分泌物の有無)

 ・顔面の圧痛や腫れ

 ・喉の状態(後鼻漏の有無)

 内視鏡検査:内視鏡を用いて鼻腔内や副鼻腔の状態を直接観察

 内視鏡検査は、より詳細に鼻腔内や副鼻腔の状態を観察するために行われます。細い内視鏡を鼻に挿入し、肉眼では見えない部分の異常も発見するため、以下のような点を確認します。

 ・鼻粘膜の状態

 ・ポリープの有無

 ・副鼻腔の開口部の状態

 CTスキャン:副鼻腔の構造を詳細に確認し、炎症の広がりや合併症を評価

 CTスキャンは、副鼻腔の詳細な構造を確認するために行われます。特に慢性副鼻腔炎の診断や手術の計画を立てる際に重要です。

 鼻汁の検査:鼻汁の検査で細菌やウイルスの感染の有無を調査

 鼻汁の検査は、感染の原因となっている病原体を特定するために行われます。細菌の種類と抗生物質への感受性、ウイルス感染や真菌感染の有無などを確認し、適切な治療法の選択に役立てます。

 ◇子どもの副鼻腔炎は10歳前後がピーク

 子どもの副鼻腔炎は10歳前後をピークに、その後は自然治癒傾向にあります。しかし、アレルギー性鼻炎や耳の病気との併発が多く、成長や学習に影響を与える可能性があります。

 主に薬物療法で治療を行いますが、薬物療法で改善が見られない場合や合併症が強い場合は、10歳以降に手術を検討します。 手術後も数年間の慎重な経過観察が必要です。適切な治療と経過観察により副鼻腔炎の影響を最小限に抑え、子どもの健康的な成長を支援することが重要です。

 ◇日常生活で鼻の清潔を保つ、風邪を引かないなどの対策が大事

 副鼻腔炎は、適切な予防と早期治療により、その影響を最小限に抑えることができる疾患です。また、その予防と再発防止には日常的な健康管理が重要です。風邪やアレルギー性鼻炎を防ぐため、バランスの良い食事と規則正しい生活を心掛けましょう。

 しかし、症状が気になる場合や自己管理で改善が見られない場合は、迷わず耳鼻科専門医を受診してください。早期の適切な診断と治療が副鼻腔炎の管理において非常に重要です。(了)

荒木進医師

荒木進医師

 荒木進(あらき・すすむ) 東京医科大学医学部を卒業後、同大学耳鼻咽喉科学教室に入局。オーストラリア・メルボルン大学での難聴の基礎研究、東京警察病院医員、厚生中央病院医長、東京医科大学霞ヶ浦病院科長、東京医科大学准教授を経て、08年に千葉県流山市で流山おおたかの森耳鼻科モーニングクリニックを開院。18年1月、「こころ安らぐ空間」をコンセプトに、人間ドックと日帰り手術専門を行うクリニックとしてモーニングクリニック六本木 内科・耳鼻咽喉科ORを開院。09年1月からは東京医科大学兼任准教授を務める。


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