中毒の見分けかた 家庭の医学

 中毒診断の第一歩は「中毒を疑うこと」です。つまり、詳細な事情聴取が大切です。薬剤の空き袋・空き瓶の存在、意識レベル、吐物(とぶつ)・排泄(はいせつ)物の性状、口臭、粘膜や皮膚の色などを注意して観察します。特に、次のようなケースでは、中毒の可能性を念頭に置いて対処することが必要です。
 1.原因不明の意識障害
 2.激しい嘔吐(おうと)や下痢
 3.通常では説明がつかない症状
 4.自殺企図(過去のものも含む)や自損傷
 5.精神科疾患を有するとき
 しかも、初期は軽症か無症状のこともあります。農薬中毒の一部(パラコート中毒、グルホシネート中毒)、医薬品中毒の一部(アセトアミノフェン中毒)、毒キノコ(アマニタトキシン)中毒などでは、特に初期は一見無症状~軽症に見えるため、医師でも見のがしてしまったり、安易に対処してしまうことがあります。「中毒かな?」と思ったら、すぐに救急車を呼びます。

■119番通報時に伝える情報・持参品
 なにを(薬物や毒物の名前)、どのくらい(薬物や毒物の量)、どうやって摂取したか(飲んでしまったのか、吸い込んだのか、皮膚についてしまったのか)を簡潔に伝えましょう。そして、症状をくわしく説明してください。
 また、ふだん医療機関からの処方薬がある場合は「お薬手帳」や薬の説明書、薬のパッケージや袋、飲んでいた瓶、吸入していた袋、吐物などを持参します。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)

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