事故や災害にあったとき(溺水) 家庭の医学

■救助方法
 ニュースでよく報道されていますが、溺水(できすい)者を助けようとして、救助者までおぼれてしまうことがあります。これは、1人で救助しようとしても、溺水者は意外に重く、しがみつかれたりして救助者までおぼれてしまうためです。したがって、おぼれている人をみつけたら、まず人を集めることが大切です。
 次に、手近にあるよく浮く物(浮き輪、ゴムボート、発泡スチロールの箱、木材など)にロープを結びつけて、これを投げ入れて溺水者につかまらせます。
 溺水者との距離が数メートルであれば、棒や釣り竿をのばしてつかまらせてもよいでしょう。そして、ロープや竿をたぐり、溺水者を岸に引き寄せます。
 ロープや竿がなく岸に引き寄せることができない場合でも、よく浮く物を投げ入れて、溺水者がつかまり浮いていられるようにしてください。

■手当て
 水から引き上げることができたら、まず意識、呼吸、脈拍をチェックしましょう。呼吸停止のときは、ただちに口対口人工呼吸をおこないます。
 泳いで救助したとき、水中であっても口対口人工呼吸はできます。
 心停止におちいっていれば、ただちに胸骨圧迫(以前は心臓マッサージと呼んでいました)を開始します。そして、救命処置をおこないつつ、救急車の到着をまちましょう。意識があるときは、体の水分を拭きとり保温につとめます。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)