AEDの使用 家庭の医学

 2004年7月から、市民にも、医師や救急救命士などにしか使用が認められていなかったAED(automated external defibrillator:自動体外式除細動器)の使用が認められました。
 突然、意識を失って倒れる人のうち、その原因として割合が高いのは心臓になんらかの異常があるときです。なかでも「心室細動」と呼ばれるものは、早期に除細動を施すことで、もとの心臓の動きを取り戻すことができます。この除細動は1分遅れるごとに7~10%ずつ救命率が下がるため、救急車の到着を待っていては間に合わないことがあります。
 最寄りの学校、コンビニ、駅、大規模店舗、公共施設にはAEDが設置されていますので、ただちに使用するようにしましょう。使いかたは簡単ですが、一度講習会などを受講されておくことをおすすめします。

■AEDの操作法
 AEDによる除細動は、救命の連鎖(チェーン・オブ・サバイバル)の3番目の1次救命処置に含まれます。
 機種によって細かい操作は異なりますが、すべてAEDが音声による指示を出してくれますので、その指示に従ってください。

・気をつけること
 注意したいのは、「AEDはけっして心臓がもとに戻る『魔法の箱』ではない」ということです。AEDが到着するまでの間に「バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)がしっかり胸骨圧迫をすること」――、これが倒れた人を助けるために一番大切なことです。2年に1回は応急手当てなどの講習会に参加し、愛する人のために知識と技術を身につけ、とっさの場合に備えてください。

(執筆・監修:医療法人財団健和会 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問 箕輪 良行)