薬物関連障害 家庭の医学

 薬物による障害には乱用と依存があります。乱用とは、誤った使いかたをしたり違法な使いかたをしたりした場合です。依存とは、乱用の結果、薬物をとらないではいられなくなる状態です。
 依存は精神依存と身体依存に区別されます。精神依存とは、こころがその薬物を求めてしまう状態です。身体依存とは、からだが薬物から離れられないようになっている状態です。その結果、使用を中止すると、離脱症状(以前の呼びかたでは禁断症状)が出てしまうようになります。薬物はすべて精神依存を起こしますが、なかには身体依存を起こさないものもあります。
 依存を起こす薬物は非常に多くあります。一般住民のなかで多いのは有機溶剤大麻覚醒(かくせい)剤、MDMA、コカイン、危険ドラッグなどです。また精神科を受診することが多いのは覚醒(かくせい)剤有機溶剤、睡眠薬や抗不安薬、危険ドラッグなどです。なお、危険ドラッグは一時ふえましたが最近は減少傾向にあります。

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)
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