屈折矯正手術 家庭の医学

 屈折異常(近視遠視乱視)の矯正(きょうせい)を目的とする手術の総称ですが、現在国内でおこなわれているのは主として近視(乱視も含めて)の手術です。
 近視は遠方の像が網膜面より前で結像する状態ですから、目の屈折力を弱める手術をおこないます。方法としては、エキシマレーザーによる角膜切除をおこなう方法が主流であり、なかでもレーシック(LASIK)がもっとも一般的です。そのほか、中等度から強度の近視の人を対象として、眼内に近視矯正用の眼内レンズを挿入する有水晶体眼内レンズ挿入術もおこなわれています。
 レーシックは、角膜中央部にフェムトセカンドレーザー(またはマイクロケラトームという小さな電動カンナのような器械)で角膜フラップ(角膜表面を切開してできたふたのような部分)をつくり、それを持ち上げてその下でエキシマレーザーによる切除をおこない、その後角膜片をもとに戻す手術です。レーシックの安全性、有効性は世界的にみとめられており、アメリカでは空軍のパイロットやアメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)の宇宙飛行士の視力矯正法としてもみとめられています。しかし、安全性が高いとはいえ、ドライアイ、グレア・ハローなどの光に関連した症状、長期的な近視の戻りなど、術後合併症もあります。
 そのほかに主として中等度以上の近視の人には、有水晶体眼内レンズ挿入手術(ソフトコンタクトレンズのようなやわらかい人工レンズを目の中に入れて、近視や乱視を矯正する手術)も一般的になってきており、レーシックと同様に安全性が高いことがわかっていますが、いっぽうでグレア・ハローなどの光に関連した症状などの合併症もあります。
 屈折矯正手術加療を受けるかどうかは、担当医とよく相談し、手術の利点・欠点、リスクをよく理解したうえで慎重に決定するべきでしょう。

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