先天性感音難聴〔せんてんせいかんおんなんちょう〕

 聴力の低下した状態を難聴といい、内耳や聴神経などの障害で音を感じる機能が悪化する感音難聴と、外耳や中耳の病気により音の伝わりがわるい伝音難聴があります。
 先天性感音難聴は、軽度のものから重度のものまでさまざまですが、軽度の場合は気づかれにくいのが特徴です。近年、新生児聴覚スクリーニングがおこなわれるようになり、難聴をゼロ歳で発見することに貢献していますが、まだ任意であるため、おこなわれなかった場合には発見がおそくなります。また、生後すぐには聞こえていたものが育つうちに悪化する場合も時にみられます。近年の研究では半数が遺伝子異常により、1割強が、母体の風疹(ふうしん)感染やサイトメガロウイルス感染によることがわかっています。そのほか内耳の形態異常によることもあります。
 音に対する反応がない、音に無関心であることなどから、赤ちゃんの段階で親が気づき、受診することが多いのですが、なかには2歳過ぎまで放置されることもあります。「ことばの出るのがおそいこと」に気づいていても「もう少しようすをみよう」とか「男の子は女の子のようにおしゃべりでないから」などとまちがった解釈でそのままにしてしまうこともありますので、不安に思ったら耳鼻咽喉科専門医に相談することが大切です。難聴があっても早期に治療を始めれば、ことばの発達の遅れが予防できたり、または早めに追いつくことができるので、異常に気づいたら、早めに専門医の診察を受け、1日も早く補聴器をつけることが大切です。なお、生後6カ月から補聴器を用いた聴覚・言語の教育を受けることが児童発達支援センターや聴覚障害特別支援学校で可能であり、専門医から紹介してもらいます。
難聴の診断にはコンピュータを利用した聴性脳幹反応(ABR)や聴性定常反応(ASSR)を用い、睡眠中に検査してほぼ正確に診断できます。赤ちゃんから検査可能です。

 内耳の形態異常は側頭骨CT検査や脳MRI検査で診断できます。遺伝子異常の有無は遺伝子検査で可能ですが、すべての遺伝子異常が診断できるわけではありません。また、結果については臨床遺伝専門医等の専門家から説明してもらう必要があります。

[治療]
 早ければ6カ月ころから両側の耳に補聴器をつけ、聴覚口話法を用いた聴能学習とことばの教育をおこないます。就学前は児童発達支援センターか聴覚障害特別支援学校の幼稚部で教育がされます。このような教育により、小・中・高校のふつうクラスを経て、大学へ進学する人もふえてきています。手話も併用しコミュニケーション能力の向上を目指す場合もあります。補聴器装用で十分に聞き取れない、または、ことばの発達があきらかに遅れる場合は、補聴器の効果に限界がある可能性が高く、そのまま教育を継続しても十分な効果が期待できません。このような場合は、音を電気信号に変換して内耳を刺激する人工内耳を埋め込む手術の適応となります。補聴器の効果がとぼしい場合、早ければ早いほど人工内耳の効果が得られますが、療育施設から医療機関に紹介されることはほとんどないのが実情ですので、補聴器を半年装用しても効果が十分でない場合は、ご両親から専門の医育機関に受診することがすすめられます。
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