口唇裂・口蓋裂〔こうしんれつ・こうがいれつ〕

 上口唇(じょうこうしん:上くちびる)、歯槽(しそう:歯ぐき)や口蓋(こうがい:上あご)が割れている疾患をまとめて口唇裂・口蓋裂と呼びます。
 日本では、400~500人の出生に1人の割合で口唇裂・口蓋裂の子どもが生まれています。

■分類
 上口唇、歯槽、口蓋のどの部分が割れているかによって分類します。

●口唇裂・口蓋裂の分類
唇裂(口唇裂)上口唇が割れている状態です。1カ所で割れている片側唇裂と、2カ所で割れている両側唇裂があります
口蓋裂口腔(口の中)と鼻腔(鼻の孔)を仕切る組織を口蓋といいます。口蓋の全部または一部が割れている状態です
口唇口蓋裂(唇顎口蓋裂)上口唇、歯槽、口蓋のすべてが割れている疾患です




■症状
 割れ目の形(分類)によって症状は異なります。

●口唇裂・口蓋裂の症状
外見の症状口唇裂や口唇口蓋裂で起こります。上口唇の変形だけでなく、鼻の変形を伴うことがあります
哺乳・食事の症状口蓋裂や口唇口蓋裂の乳児は、直接授乳やふつうの哺乳瓶でミルクを飲むことが困難です。口蓋裂用の哺乳瓶や総入れ歯のような装置(口蓋床など)を使うことによって、口からミルクを飲むことができます。口蓋裂がある子どもでも、離乳食を食べることはできます
ことばの症状口蓋裂や口唇口蓋裂で起こります。適切な治療がおこなわれていないと、鼻に抜けたような声になり、パ行の音などを発音することができません。また、歯並びの異常などによって発音のくせが起こることもあります
歯並びの症状口唇口蓋裂など歯槽の割れ目(顎裂)がある場合に起こります。また、手術の影響によって上顎骨(上あご)の発育がわるくなることがあります
耳の症状口蓋裂や口唇口蓋裂で起こります。中耳は耳管(じかん)と呼ばれる細い管で、のどの奥までつながっています。口蓋裂があると、耳管の機能が悪くなるため、中耳炎を起こしやすくなります


■治療のあらまし
 見た目、歯並び、ことばなどの症状が起こるため、形成外科、歯科、耳鼻咽喉科、言語聴覚士などの専門科が共同で診療します。
 割れ目のほとんどは2歳までに手術で閉鎖します。その後、小学校に入学するまでの間は、ことばや歯並びが大きく成長するため、定期的な通院をおこないます。なんらかの症状が見つかった場合は、言語訓練、歯科矯正、再手術などをおこないます。
 このように、適切な時期に正しい治療を受けることによって、大きな障害が残ることは少なくなっています。

■代表的な手術
□口唇形成術
 口唇裂を閉じる手術は生後3カ月ころにおこないます。鼻の変形に対する修正を同時におこなうこともあります。
 両側唇裂の場合は、1回で両側を閉鎖する方法と、片側ずつ2回に分けて閉鎖する方法があります。
□口蓋形成術
 口蓋裂があると、ことばの発達にわるい影響を及ぼすため、ことばを話し始める1歳前後に口蓋裂を閉じる手術をおこないます。割れ目のかたちや大きさによって適切な手術法を選択します。
□顎裂部骨移植術
 口唇口蓋裂など顎裂(がくれつ)のある患者さんにおこないます。歯が生え変わる時期(6~10歳)に、自家骨(自分の骨)を顎裂へ移植します。手術の前後には歯科矯正をおこない、歯並びをととのえます。

【参照】子どもの病気:唇裂、口蓋裂
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