関節の痛みとはれ 家庭の医学

■関節の痛み
 特定の関節の痛みが長期にわたり続く場合と、複数の関節の痛みやはれが同時にみられる場合があります。また、急激に痛みやはれが出る場合と長期にわたり続く場合があります。
 特定の関節の痛みが長期間にわたって続く場合、以下の関節疾患の可能性があります。

□変形性関節症
 関節に加齢変化が生じ、おもに軟骨が傷みます。関節とその周囲が痛い、関節を動かすと痛い、痛くて関節を十分に動かせない、関節がはれる、関節に水がたまる(関節水腫〈すいしゅ〉)、歩くとき体重をかけると痛いなどの症状が出ます。特に足の関節症では、痛みのため跛行(はこう)といって足を引きずって歩いたり、痛みのために短距離しか歩けなくなります。また、痛みのために正座ができなくなったり、階段の昇降が不自由になります。関節軟骨がたくさんすり減ると、関節を動かすときにゴリゴリと音がすることがあります。
・変形性膝(ひざ)関節症
 高齢者でもっとも多くみられます。膝痛やひざの変形の原因となります。関節水腫といって関節内に水がたまり、膝痛や運動制限の原因となります。
・変形性股(こ)関節症
 跛行の原因となります。下肢では、ほかに足関節や足趾(そくし)の関節症がみられます。上肢では肩関節症、肘(ひじ)関節症がみられます。肩やひじの運動時の痛み、運動が制限されます。いまではほとんどの変形性関節症に対し、人工関節置換が可能で、この手術をすることで関節痛を取り除くことができます。

■関節の痛みとはれ
・痛風
 中年の男性で足の親指が急に赤くはれて、激しく痛む場合は痛風(つうふう)が疑われます。
・偽痛風
 高齢者のひざや肩の関節が急にはれ、激しく痛む場合には偽痛風(ぎつうふう)が疑われます。関節軟骨にカルシウムが沈着して炎症を生じます。
・単純性股関節炎
 小児の股関節が急にはれて痛みます。
・ひざや肩の腫瘍(肉腫)
 まれに悪性腫瘍である肉腫(にくしゅ)が痛みやはれの原因となります。
・複数の関節の痛みやはれが同時にみられる場合
 関節リウマチでは、複数の関節が同時におかされるのが特徴です。特に手指では、指の付け根の関節やまん中の関節がはれます。朝起きたときに手がこわばっているのもリウマチで、ほとんど必ず起こる症状です。
 手の指のいちばん末端の関節だけがはれたり痛むのは、変形性関節症の一種であるヘバーデン結節で、中年女性の複数の指によくみられます。

■外傷を受けて関節がはれる
 関節に血液がたまる関節血腫(けっしゅ)か、捻挫(ねんざ)が疑われます。骨折を合併していることもあります。激しい痛みと急なはれ、熱感が強いときには化膿性関節炎も考えられます。

■関節が動かなくなる
 関節の動きがわるくなることを拘縮(こうしゅく)といい、まったく動かなくなることを強直(きょうちょく)といいます。関節どうしがくっついたり、関節包の変化が原因となります。化膿性関節炎などの炎症や痛みが続くと起こることがあります。外傷のあとにも拘縮を生じます。
 骨折の治療のため長期間ギプスで関節を固定すると、よく拘縮が生じます。いったん拘縮となると、長期のリハビリテーションでもなかなか完全には回復しません。特にひざやひじ、手の指、肩の関節は拘縮ができやすく、治りにくいものです。筋肉や腱(けん)のけが、やけどによる皮膚のひきつれでも拘縮を生じます。五十肩でもしばしば肩関節の拘縮が残ります。

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