糖代謝とインスリン
糖尿病がインスリンの作用の不足にもとづく病気であることは「糖尿病の成因にもとづいた分類」でくわしく述べていますので、そちらをご参照ください。
ここでは、血糖値の調節を中心とした糖代謝とインスリンの作用について簡潔に解説します。
■糖代謝
血糖値とは、血管の中の血液中のぶどう糖の濃度を意味し、健常者の場合、食事摂取によって上昇するものの、比較的狭い範囲(およそ80~140mg/dL)に保たれています。食物として摂取されたでんぷんなどの糖質は消化管で分解され、ぶどう糖になって吸収されます。血糖値が上昇しそうになると、膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞からインスリンが分泌され、インスリン存在下にからだの細胞はぶどう糖を取り込みエネルギー源として利用するとともに、過剰なぶどう糖はグリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に、また、中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵されます。空腹時に血糖値が低下傾向になれば、蓄えられたグリコーゲンはグルカゴンやアドレナリン(エピネフリン)などのホルモンのはたらきによって分解され、ぶどう糖として血液内に供給されます。
■インスリンの作用
インスリンは血糖値を低下させる唯一のホルモンで、どのようにして血糖値を下げるかというと次のようなはたらきとなります。
①血液中の糖を筋肉や脂肪細胞などに取り込ませる。
②肝臓や筋肉で、糖からグリコーゲンへの合成を促進する。
③肝臓における糖の産生や放出を抑える。
④脂肪細胞で糖の利用を促進し、脂肪の合成を促進し、脂肪の分解を抑える。
インスリンの作用の不足によって高血糖状態が持続する病気が糖尿病です。インスリンの作用不足はインスリン分泌の絶対的欠乏、インスリン分泌の相対的な不足、インスリン抵抗性がいろいろな割合で重なって起こります。
(執筆・監修:東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長/東京女子医科大学 特任教授 内潟 安子)
ここでは、血糖値の調節を中心とした糖代謝とインスリンの作用について簡潔に解説します。
■糖代謝
血糖値とは、血管の中の血液中のぶどう糖の濃度を意味し、健常者の場合、食事摂取によって上昇するものの、比較的狭い範囲(およそ80~140mg/dL)に保たれています。食物として摂取されたでんぷんなどの糖質は消化管で分解され、ぶどう糖になって吸収されます。血糖値が上昇しそうになると、膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞からインスリンが分泌され、インスリン存在下にからだの細胞はぶどう糖を取り込みエネルギー源として利用するとともに、過剰なぶどう糖はグリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に、また、中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵されます。空腹時に血糖値が低下傾向になれば、蓄えられたグリコーゲンはグルカゴンやアドレナリン(エピネフリン)などのホルモンのはたらきによって分解され、ぶどう糖として血液内に供給されます。
■インスリンの作用
インスリンは血糖値を低下させる唯一のホルモンで、どのようにして血糖値を下げるかというと次のようなはたらきとなります。
①血液中の糖を筋肉や脂肪細胞などに取り込ませる。
②肝臓や筋肉で、糖からグリコーゲンへの合成を促進する。
③肝臓における糖の産生や放出を抑える。
④脂肪細胞で糖の利用を促進し、脂肪の合成を促進し、脂肪の分解を抑える。
インスリンの作用の不足によって高血糖状態が持続する病気が糖尿病です。インスリンの作用不足はインスリン分泌の絶対的欠乏、インスリン分泌の相対的な不足、インスリン抵抗性がいろいろな割合で重なって起こります。
(執筆・監修:東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長/東京女子医科大学 特任教授 内潟 安子)