回虫症〔かいちゅうしょう〕

 回虫は、特に温暖・湿潤な熱帯・亜熱帯地方に多くみられます。日本では、衛生管理の徹底によって現在ほとんどみることがなくなりました。しかし、無処理の人糞尿肥料の使用や輸入野菜の生食、流行地への海外旅行による回虫の感染者がみられます。
 ヒトは、手指や野菜などに付着した回虫の成熟虫卵(なかに幼虫が入っている)を食べて感染します。糞便中に出たばかりの虫卵を飲み込んでも感染しません。からだのなかでは、小腸で卵から孵化(ふか)した幼虫は肝臓、心臓を通って肺で成長したあとにふたたび小腸に戻って成虫になります。この間、約70~80日です。雌成虫は約30cm、雄成虫は約20cmで、ともに白色または肌色の細長いミミズ状の虫です。


[症状]
 成虫が小腸で静かにしているときにはほとんど症状はありませんが、幼虫が肺を通る時期に、いろいろな症状がみられることがあります。熱っぽかったり、ぜんそくのようなせきが出ることがあります。ふつうは、回虫が自然に肛門から出たり、検便で虫卵が見つかってはじめて気づきます。
 しかし、たくさんの虫が寄生した場合には腹痛、吐き気、下痢などのほか、たくさんの虫が塊状にもつれて腸閉塞を起こすこともあります。回虫が胆管や虫垂などに頭を突っ込んだときには激しい痛みがあり、胃に頭を突っ込んだときには虫を口から吐き出すこともあります。

[治療][予防]
 便を調べてもらい、虫卵が見つかったら駆虫します。しかし、雄虫だけの寄生では虫卵はみられないので、このような場合にはX線検査や腹部超音波(エコー)検査をします。
 予防としては、葉野菜類はていねいに流水で洗うか加熱すれば感染することはありません。また、自家菜園では、肥料として腐熟(ふじゅく)していない大便や尿を野菜の栽培に用いないことが大切です。駆虫薬が有効です。
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