トキソプラズマ症〔ときそぷらずましょう〕 家庭の医学

 人獣共通感染症の一つです。感染したネコの便や豚肉のなかのトキソプラズマ虫体を口から取り込んで感染します。人体に取り込まれたトキソプラズマ虫体は小腸内で増殖型の虫体になり、全身の組織に散布されます。体内に散らばった虫体が分裂して増殖することによって、からだの組織が破壊されて炎症を起こします。おもな症状はリンパ節炎です。
 問題になるのは、妊娠中に感染したときです。虫体が胎盤を通過して胎児に及び、死産や流産の原因になります。また産まれてくる子どもに水頭症、脈絡膜炎(みゃくらくまくえん)などの先天性トキソプラズマ症の症状が出ることがあります。
 ネコの糞や糞の付いたものを素手でさわらないようにしましょう。豚肉は生で食べないこと、豚肉を扱ったあとはよく手を洗いましょう。妊娠中の女性は特に要注意です。

【参照】目の病気:トキソプラズマ症

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 松岡 裕之)
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