妊娠中期以降に必要に応じておこなう検査 家庭の医学

□超音波(エコー)検査
 胎児の発育状況や胎盤、羊水(ようすい)の状態を調べる検査です。
 妊娠初期には経腟(ちつ)的に(腟内から)おこないますが、中期以後は経腹的に(腹壁から)おこないます。初期・中期・後期と3回程度が通常ですが、必要に応じて回数はふえますし、病院によっては毎回おこなうところもあります。

□母体血清マーカー(トリプルマーカーまたはクワトロテスト)
 妊娠15~17週の間に母体から採血し、血液中の3~4つの成分であるα(アルファ)-フェトプロテイン(AFP)、絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン(hCG)、非抱合型エストリオール(uE3)〕、インヒビンAを測定して、その値から胎児がダウン症であるかどうかを推定する検査です。
 結果は「確率」で出されるため、確率が低くてもダウン症児が生まれる場合もあり、また確率がある程度高くても、ほとんどの児は正常です。確定診断には羊水検査が必要です。
 ダウン症ではAFPとuE3が低く、hCGは高くなるとされています。AFPが高値である場合、神経管欠損(無脳症、脊髄裂〈せきずいれつ〉、脊髄膜瘤〈りゅう〉ほか)などの可能性が高くなります。

□羊水検査
 胎児に染色体異常や先天性代謝異常の疑いのある場合、15~18週ころにおなかから針を刺して子宮内から羊水を採取し、浮遊している胎児の皮膚細胞を培養して調べます。この検査では、1/300(0.3%)の確率で流産となる危険があります。

□胎児胎盤検査
 妊娠高血圧症候群や妊娠末期、予定日超過の場合などにおこなう検査です。
・ノンストレステスト(NST)…子宮収縮の状態と胎児の心拍数を連続40分間記録する検査で、現在胎児が元気であるか、その状態がわかります。

□骨盤のX線検査
 胎児の頭の大きさが母体の骨盤とくらべて大きい可能性がある場合や、骨盤が狭い、あるいは骨盤の変形が疑われる場合におこないます。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)
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