心筋炎〔しんきんえん〕

 なんらかの炎症が心筋に起こることにより、拡張型心筋症と同様に心臓が収縮する力を失ってしまう病気です。
 炎症の原因として、ウイルス感染によるものが多く報告されており、急激な経過をたどる急性心筋炎と、まれですが慢性の経過をたどる慢性心筋炎もあります。

[症状]
 急性心筋炎は、かぜ症状のみられたあとに徐々に症状が出ることが多く、運動時の息切れやむくみ、呼吸困難などの症状が出て医院を受診して診断されることもあります。また、経過中に重症の不整脈の発生もみられ、突然死の原因にもなります。特に、急激な経過をたどって致命的になる劇症型心筋炎もあり、この場合にはICU(集中治療室)での専門家による治療が必要となります。また、なかには補助人工心臓の力を借りなければ乗り切れないこともあります。

[検査]
 X線検査による心臓の拡大や心電図の異常、心エコー検査による心臓の収縮力低下によって診断がなされます。

[経過]
 多くは急性期を過ぎたのちに回復に向かいますが、なかには心臓の収縮する力がもとに戻らず、後遺症として心臓の機能低下がみられることがあります。また、ごく一部では、心臓の収縮力がまったく回復せず、心臓移植を検討する必要がある場合もあります。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団 附属 榊原記念病院 副院長/榊原記念クリニック 院長 井口 信雄
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