米・Duke University School of MedicineのEmmanuel B. Walter氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するmRNAワクチンおよび不活化4価インフルエンザワクチン(IIV4)の接種希望者335例を対象に、同時接種と逐次接種の副反応および安全性をランダム化比較試験で検討。その結果、接種後7日間における中等度以上の発熱、悪寒、筋肉痛または関節痛の発現に関して、逐次接種に対する同時接種の非劣性(発現増加なし)が示されたJAMA Netw Open2024; 7: e2443166)に発表した。(関連記事「インフルワクチン、抗原性ミスマッチの影響は」)

接種後7日間の副反応、逐次接種31.3% vs. 同時接種25.6%

 同試験では、2021年10月~23年6月に米国の3施設でSARS-CoV-2 mRNAワクチンとIIV4の接種を希望する妊娠していない5歳以上の335例(平均年齢33.4歳、女性63.0%)を登録。両ワクチンの同時接種群(169例)と逐次接種群(166例)に1:1でランダムに割り付けた。

 1回目接種では、一方の腕にSARS-CoV-2 mRNAワクチンを接種し、反対側の腕にIIV4(同時接種群)または生理食塩水(逐次接種群)を接種。1~2週間後の2回目接種では、同時接種群に生理食塩水、逐次接種群にIIV4を接種した。SARS-CoV-2 mRNAワクチンはファイザー製2価mRNAワクチン(BNT162b2)が76.1%を占めた。

 主要評価項目は1回目と2回目の接種後7日間に発現した中等度以上の副反応(発熱、悪寒、筋肉痛または関節痛の複合)の合計とし、発現率の群間差10%ポイントを非劣性マージンとした。

 解析の結果、主要評価項目の発現率は逐次接種群の31.3%に対し同時接種群では25.6%で、統計学的な優越性は示されなかったものの、逐次接種に対する同時接種の非劣性が示された(試験施設を調整後の群間差-5.6%ポイント、95%CI -15.2~4.0%ポイント)。

 接種日別の接種後7日間の副反応(複合)の発現率は、1回目(同時接種群23.8% vs. 逐次接種群28.3%、調整後オッズ比0.80、95%CI 0.49~1.30、P=0.39)、2回目(同3.0% vs. 5.4%、0.54、0.18~1.63、P=0.29)ともに2群間で有意差がなかった

有害事象、健康関連QOLも有意差なし

 接種後7日間の有害事象(同時接種群12.4% vs. 逐次接種群9.6%、群間差2.8%ポイント、95%CI -3.9~9.5%ポイント)、接種後121日間の重篤な有害事象(同0.6% vs. 0.6%、-0.01%ポイント、-1.66~1.64%ポイント)、同期間中の特に注目すべき有害事象(同11.2% vs. 5.4%、5.8%ポイント、-0.1~11.7%ポイント)の発現率は、いずれも2群間で有意差がなかった。

 また、12歳以上を対象としてEuroQol 5-Dimension 5-Level(EQ-5D-5L)で評価した1回目接種後7日間の健康関連QOLについても2群間で有意差はなかった。

 以上の結果から、Walter氏らは「試験対象は小児と高齢者が少なく(18~64歳が86.3%)、妊婦を除外しているため、結果の一般化には限界がある」と指摘した上で、「この結果はSARS-CoV-2 mRNAワクチンとIIV4の同時接種を支持するものだ」と結論している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、多系統炎症性症候群、ギラン・バレー症候群、アレルギー反応(接種後7日以内のアナフィラキシー、蕁麻疹、顔面および末梢性浮腫)、心筋炎心膜炎

(医学翻訳者/執筆者・太田敦子)