糞線虫症〔ふんせんちゅうしょう〕

 糞線虫は熱帯・亜熱帯地域、日本では沖縄、九州南部地域でみられます。小腸に雌成虫が寄生し、卵ではなく幼虫を産みます。幼虫は便とともに排出され、土壌中で発育して感染型の幼虫になります。この幼虫が人の皮膚から入って感染します。


[症状]
 少数の虫が寄生している場合にはほとんど症状はありませんが、低栄養、免疫低下状態ではたくさんの糞線虫に感染しやすくなり、激しい下痢を起こします。その場合、外界に出ることなく腸管内で発育した感染型幼虫が自家感染をおこし、腸管内の細菌といっしょに腸管壁から血流に侵入するために、敗血症や化膿性髄膜炎などの合併症がみられることがあります。

[治療][予防]
 便をろ紙や寒天培地で培養して、感染型幼虫を検出して診断します。幼虫が見つかったら必ず駆虫してください。また、幼虫が皮膚から入って感染するので、流行地でははだしで歩かないことが大切です。糞線虫はニホンザルにも寄生しています。山間地域で野生ザルの糞を処分することがありますが、皮膚に触れないよう注意が必要です。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 松岡 裕之)
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