トレーナーから個別に筋力トレーニングなどの指導を受ける「パーソナルトレーニング」で、2023年までの6年間に209件の事故があったことが、消費者安全調査委員会(消費者事故調)の調査で分かった。事故は増加傾向にあり、骨折や神経損傷など深刻なケースもあった。事故調は再発防止策などの検討に向け、引き続き調査を進める。
 調査は、ダイエットや運動不足解消を目的にトレーナーから1対1で受ける筋力トレーニングや食事指導が対象で、23年5月から開始した。こうしたトレーニングは体力や目標に合わせて取り組めるため、年々人気が高まっているという。
 消費者庁などが運用するデータバンクに登録されたトレーニング関連の事故は6年間で505件あり、その4割超に当たる209件がパーソナルトレーニング関係だった。全治1カ月以上は61件。被害者は女性が9割を占めた。年代別では40代が最も多く、50代、30代と続いた。
 国民生活センターに寄せられた情報では、ある30代女性がトレーナーの指導で2カ月間、前かがみで重いバーベルを持ち上げ続けた結果、腰を骨折した。このトレーナーは糖質ばかりの食事や、肉を急にたくさん食べるメニューなどの不適切な食事指導もしていた。
 上体を反らした状態で肩甲骨付近を押されて痛かったが言い出せず、腰にしびれが出たケースもあった。腰痛改善のプログラムで立ち上がれないほど腰痛が悪化したり、糖質制限中に湿疹が出て、茶色い跡が残ったりした例もあった。
 トレーナーに公的な資格はなく、指導の方法や知識、質にばらつきがある。このため利用者自身で事故を回避するのは難しいという。
 消費者事故調の中川丈久委員長は「トラブルが多様で注意喚起が困難だが、これからも事故は増えていくと予想できる。無理な指導にもまじめに取り組むような人ほど冷静になって気を付けてほしい」と呼び掛けている。 (C)時事通信社