民間有識者らでつくる「人口戦略会議」の副議長を務める増田寛也元総務相(日本郵政社長)は11日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演した。人口減少が「格差と対立の深刻化」をもたらすと警鐘を鳴らし、「政府がきちんとした分析を行い、若者や女性の意識、実態を重視した政策をつくる必要がある」と求めた。
 人口戦略会議は1月、2100年に人口を8000万人で安定化させることを目指すべきだとの提言を公表。4月には、将来消滅する可能性がある自治体などのリストをまとめた。
 増田氏は人口減少について「静かに、ひたひたと確実に進行していく問題」と指摘。対応が遅れれば、世代間や、東京と地方の間の対立が深刻化する恐れがあると懸念を示した。
 その上で、少子化対策と合わせ、現在より少ない人口規模でも「成長が確保できて、豊かさを感じられるよう、(社会の仕組みを)『縮小社会』に対応できるように切り替えていく」必要性を強調。社会全体で働き方改革や子育て環境の整備をさらに進めるべきだと訴えた。
 東京一極集中に関しては、災害や感染症拡大のリスクを含めて「過度な集積は考え直さないといけない」と述べ、是正が不可欠との認識を示した。都内の住宅事情などを踏まえ、「東京の出生率が高くなることはあり得ない」とも指摘した。 (C)時事通信社