治療・予防

肥満以外のリスクも
~砂糖の過剰摂取(福島県立医科大学 前島裕子准教授)~

 砂糖の過剰摂取は砂糖依存とも呼ばれ、肥満糖尿病以外にもさまざまな健康リスクを引き起こす可能性があるという。肥満や体内炎症などをテーマに研究を続けてきた、福島県立医科大学医学部(福島市)病態制御薬理医学講座の前島裕子准教授に聞いた。

多くの砂糖が含まれる食品の例

多くの砂糖が含まれる食品の例

 ◇心臓病やうつ病にも

 砂糖などの糖質は、大きく3種類に分けられる。分子構造的に糖が一つの単糖類、二つつながった二糖類、多くつながった多糖類だ。一般に言われる砂糖は二糖類のうちのショ糖に分類される。糖質は体内に取り込まれると消化酵素により最終的に単糖類まで分解されるため、多糖類ほどゆっくり吸収され、血糖値の上昇は緩やかになる。多糖類の代表格は米だ。

 「糖質は筋肉や脳などの臓器を正常に機能させるために必要なエネルギーの主な供給源です。食事で十分に摂取できますが、不足すると疲れや集中力低下を招きかねません」

 体重や活動量にもよるが、「糖質の適量は、身長160センチの成人の場合、1日のうちで座っている時間が長い人なら約200グラム、肉体労働などで体を動かしている人なら約300グラム弱が目安です」。

 それ以上の摂取は「過剰」となり、「週1回程度なら問題はありませんが、習慣化してしまうことで、肥満糖尿病につながり、やがて心血管疾患やうつ病、がんや炎症性疾患などの健康リスクを引き起こしかねません」

 食事だけで適正体形に

 砂糖を多く含むスナック菓子やケーキなどのスイーツ、炭酸飲料やスポーツ飲料を習慣的に摂取することで、脳が快感を覚え、やがてより多くの砂糖を求めてしまうことが動物実験などから分かっている。

 前島准教授も、砂糖にはニコチンやアルコールなどと同じ依存性があると指摘する。「角砂糖に換算すると、500ミリリットルの炭酸飲料なら約14個、ラーメン1杯なら約18個分に相当する砂糖が含まれます」

 ただ、砂糖を過剰に取っているからといって、極端なダイエットをするのは禁物だ。特に思春期の女性は拒食症につながる危険もあるという。「脳に気付かれない程度に徐々に体重を落とすのが肝心です」

 「砂糖を多く含む食品の買い置きはせず、手の届く範囲にも置かない。小腹が空いたらナッツ類やチキン、満腹感が得られる温かい野菜スープを。一般に極端なダイエットをしなくても、間食を控え栄養バランスの取れた通常の食事をきちんと取ることで、体格指数(BMI)20~25未満の適正な体形になるでしょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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