【ニューデリー時事】インドの首都ニューデリーで、河川や大気の汚染が深刻化している。環境問題は「政争の具」と化し、抗議の意を示すため汚れた川で沐浴(もくよく)し、入院する羽目になった政治家も出た。
 分厚い白い泡が川面を覆い、悪臭が鼻を突く。ヒンズー教徒が神聖視する大河ガンジスの支流で、隣接州との境を流れるヤムナ川。泡は付近の工場が排出した有害物質や未処理の下水に由来すると報じられている。10月に入り気温が低下したことで、泡が長時間残る条件が整ったという。
 川沿いの屋台で食事をしていた弁護士のアジャイ・グプタさん(51)は「処理場建設にはコストがかかるため、排水がそのまま捨てられている。行政機関が産業界を適切に取り締まることができていない」と嘆く。
 地元メディアによると、ヒンズー色の強い国政与党インド人民党(BJP)の幹部が24日、庶民党率いる首都圏政府の環境政策を批判し、ヤムナ川の神の「許しを請う」ため沐浴のパフォーマンスを実施。しかし、2日後に呼吸器の問題や皮膚のかぶれを訴え、入院した。
 街が白いスモッグに覆われる日も増えた。政府機関が公表する大気汚染指数は6段階で2番目に悪いカテゴリーを示す日も。首都圏政府は、BJPが支配し農業が盛んな北部の隣接州、ウッタルプラデシュ州やハリヤナ州での大規模な野焼きが原因だと批判している。 (C)時事通信社