米・University of VirginiaのMoritz Lange氏らは、軽度~中等度の勃起障害(ED)を有する男性30例を対象にしたランダム化比較試験(RCT)の長期追跡データを用い、陰茎に微弱な衝撃波を照射する低強度衝撃波療法(LiSWT)の長期有効性を検討。その結果、勃起機能の有意な改善効果が治療後2年間持続し、その後は効果が減弱することが示されたとTransl Androl Urol(2024; 13: 2194-2200)に発表した(関連記事「心リハで心血管疾患患者の勃起障害が改善」)。
単盲検シャム対照RCTの30例を3年追跡
同試験では、軽度~中等度EDと診断された患者33例を患者盲検下でLiSWT群(17例)とシャム治療群(16例)にランダムに割り付けた。シャム治療群の患者は治療開始後1カ月の時点でLiSWT群にクロスオーバーし盲検解除となった。
LiSWT群では、Storz® Duolith™デバイスを用いて0.1mJ/mm2の衝撃波3,000発を陰茎遠位部、基部、脚部に照射する治療を週2回3週間(計6回)実施した。クロスオーバー後の統合LiSWT群のうち30例(年齢中央値69歳)を解析対象とし、治療終了後36カ月まで追跡した。
主要評価項目は、勃起機能問診票(SHIM)スコア(範囲1~25点、21点以下でED)および勃起の硬さスケール(EHS)スコア(範囲0~4点、3点以上で挿入に十分な硬さ)のベースラインからの変化量とした。
SHIMとEHSのスコア改善が2年持続、有害事象なし
線形混合効果モデルによる解析の結果、ベースラインでの平均SHIMスコア10.8点(95%CI 8.95~12.7点)と比べ、治療終了後12カ月、24カ月での平均SHIMスコアは15.6点(同13.07~18.1点)、15.0点(同12.79~17.3点)で有意な改善が認められたが(ともにP<0.001)、36カ月でのスコアは12.2点(同9.38~15.0点)で有意差が消失した(P=0.31)。
また、ベースラインでの平均EHSスコア1.87点(95%CI 1.53~2.21点)と比べ、治療終了後12カ月、24カ月での平均EHSスコアは2.70点(同2.23~3.17点)、2.66点(同2.24~3.07点)で有意な改善が認められたが(それぞれP<0.001、P=0.004)、36カ月でのスコアは2.29点(同1.77~2.82点)で有意差が消失した(P=0.10)。
さらに、ED治療満足度調査票(EDITS)スコア(0~100点、高スコアほど高い満足度)による評価の結果、LiSWTに対する患者満足度は中等度であることが示された(治療後のEDITSスコア中央値48.9点、四分位範囲22.7~74.4点)。なお、有害事象は報告されなかった。
治療プロトコルの標準化が課題
以上の結果から、Lange氏らは「LiSWTによる勃起機能の改善効果は治療終了後1年時に最大となり、2年時まで有意な効果が持続するものの、その後は効果が減弱することが判明した」と結論。ただし、24カ月(2年)時の追跡調査を完了した患者は6例のみのため、結論を導くには限界があるとしている。
さらに、「LiSWTは研究間で使用機種、出力、衝撃波の照射数、治療頻度にばらつきがあるため直接比較が困難」と指摘し、「今後の研究では、治療プロトコルを標準化するとともに、勃起機能の持続的な改善が見られない患者に対する反復治療の可能性について検討する必要がある」と付言している。
(医学翻訳者/執筆者・太田敦子)