11月22、23日に大阪市中央区道修町にある少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)で、今年も「神農祭」が開催された。神農祭は、日本医薬の祖神・少彦名命(すくなひこなのみこと)と中国医薬の祖神・炎帝神農(えんていしんのう)をまつる少彦名神社で開催される、病気平癒・家内安全を祈願する祭り。堺筋から御堂筋を東西に走る道修町通は、古くから製薬会社が立ち並び、薬の町として栄えてきた。昨年に続き、当日の賑やかな様子を写真とともにお届けする(関連記事:「病気平癒、家内安全」神農祭をレポート!)。
オフィス街に位置する約250年の歴史ある神社
道修町は安土・桃山時代ごろから薬業者が集まる土地だったとされ、少彦名神社は神のご加護により薬業を正しく遂行するため1780年に建立された。
神社の入り口はビルに挟まれており一見分かりにくいが、オフィス街の中で存在感を放っている
入り口から鳥居へと続く通路の脇には、神社に奉じられた家庭の常備薬(左)と、製薬企業などの名前が記された提灯が並ぶ(右)
歴史が感じられる鳥居
本殿にも立派な提灯が幾つも連なる
神農祭は、江戸時代末期の1882年に大阪でコレラが大流行した際、道修町で薬種商が和漢薬を配合して「虎頭殺鬼雄黄圓」(ことうさっきうおうえん)を作製し、お守りとして張り子の虎と一緒に配ったのが始まり。コレラは当時、罹患すると「2~3日でコロリと死ぬ」といわれ、虎と狼が一緒に襲ってくるような病という意味を込め「虎狼痢(コロリ)」と表現された。張り子の虎はこの病名と薬名に由来している。
本殿の右横には、神農祭のシンボルである虎(左)と、炎帝神農像(右)が鎮座している
おくすりのキャラクターのイベントは大盛況
道修町通にはたこ焼きやたい焼きなどの屋台、金魚すくいや射的などの出店が並び、神農祭に来た人々で賑わっていた。
製薬会社オリジナルのキャラクターが登場するじゃんけん大会も開催され、キャラクターが出演すると歓声が沸き、写真を撮るために多くの人々が集まった。じゃんけんに勝利すると景品がもらえる他、路上でシールやハッピなどのグッズも配布されていた。
左から三宝製薬の「とふめるん」、大阪科学技術館の「テクノくん」、常盤薬品の「打破山眠太郎」、浜理薬品栄養科学の「カルノちゃん」
左から日本新薬の「シンヤくん」、千寿製薬の「せんせん」、大和生物研究所の「ササヘルスくん」、大幸薬品の「セイロガン糖衣Aちゃん」と「正露丸くん」
神農祭は毎年11月22、23日に開催され、大阪では年内最後の祭りであることから「とめの祭り」とも呼ばれている。歴史ある神社の風情が感じられ、製薬業界を盛り上げるキャラクターたちのイベントも楽しめる神農祭、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。
(編集部・平吉里奈)