関節のしこり―ガングリオン
痛みや、まひも
ガングリオンは、関節の周辺にできるこぶ(腫瘤=しゅりゅう)で、米粒大からピンポン球くらいまでと大きさはさまざまだ。通常は無症状だが、生じる場所によっては痛みの原因になったり、神経を圧迫してまひを起こしたりすることがある。東日本橋整形外科(東京都中央区)の高橋勇次院長は「ガングリオンは悪性ではありませんが、症状によっては手術が必要になることもあります」と話す。
手首にできたこぶ(東日本橋整形外科提供)
▽部位や硬さはさまざま
ガングリオンができやすい場所は、手首の手のひら側や甲側、指の付け根部分などで、痛みを感じないことが多い。手以外では、足首や膝の裏、肘、肩甲骨の周辺などにもでき、触った感じは、軟らかいものから硬いものまでさまざまだ。男女ともにできるが、比較的若い女性に多いとされる。
高橋院長は「関節を覆っていて滑らかに動かす役目を持つ関節包という組織や、腱鞘(けんしょう)という腱が通る鞘(さや)が、繰り返し刺激を受けることで袋状に変性し、ゼリー状の粘液や関節液をため込んでしまいます」と説明する。袋状の根元には、一方通行の弁ができるため、関節液がたまって、だんだんと大きくなることもあるという。
ガングリオンの中には、診断されにくいものもある。「手首の関節の深い所にできるオカルトガングリオンと呼ばれるものは、外側からは腫瘤に触れず、手をついたりしたときに痛みを感じるため、超音波や磁気共鳴画像装置(MRI)の検査で初めてガングリオンだと分かることがあります」と高橋院長。
▽保存的治療や手術も
ガングリオンは良性なので、自然に消えてしまうこともあり、放置しても問題ないが、一般的には、注射器で中身を抜いたり、押しつぶしたりする保存的治療を行う。ただし、頻繁に再発を繰り返したり、肘や肩にできて神経を圧迫してまひが生じたりする場合は、手術が適用されるという。
「手首の場合は、切開すると痛みが残ったり関節の動きが悪くなったりすることがあるので、ガングリオンの根元にある弁を関節内から壊し、中身を抜いて再び粘液がたまらないようにする内視鏡手術を推奨しています」
ガングリオンには、よく似た他の病気もある。高橋院長は「腫瘤ではなく、実は腫瘍だったというケースもあります。自己判断はせずに、必ず医師の診断を仰いでください」と呼び掛けている。
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/19 06:00)