治療・予防

難治性統合失調症のクロザピン治療
選択肢として考慮も

 日本の統合失調症患者数は、2014年に77.3万人と推計され、そのうち約20万人が難治性(治療抵抗性)と考えられている。クロザピンは、治療抵抗性の統合失調症に有効とされる薬で、日本では2009年に発売された。クロザピン治療に詳しい日野病院(横浜市)の馬場淳臣院長は「クロザピンは効果がある半面、重大な副作用を引き起こす恐れがあるため、服用時は必ず主治医の指示に従ってください」と注意を呼び掛ける。

重大な副作用のリスクも。服用時は必ず主治医の指示に従って

 ▽日本で低い処方率

 被害妄想や幻覚、幻聴などを主症状とする統合失調症の治療では、幾つかの薬を処方通りに服用しても改善が見られない「反応性不良」、手足が突っ張るなどの副作用が強く出て思うように薬の量を増やせない「耐容性不良」が起こる場合があり、それらを治療抵抗性と呼ぶ。馬場院長は「クロザピンは、こうした治療抵抗性の統合失調症において有効性が認められていて、服用中の薬の量を減らせる可能性もあります」と語る。

 ところが、日本ではクロザピンの治療を受けている人はわずか7000人ほどで、諸外国に比べて処方率は極めて低い。同病院の飛田俊介副薬局長は「致死性の副作用の存在が、普及しづらい原因でしょう」と指摘する。

 ▽18週間の入院治療

 クロザピンの治療は、認可された施設でしか行えず、治療経過や処方は、クロザリル(クロザピン)患者モニタリングサービス(CPMS)という仕組みで一元管理されている。服薬開始から18週間は副作用が表れやすいため、原則、入院が必要となる。

 治療中に最も注意を要するのは、細菌から体を守る白血球が減少する副作用だ。馬場院長は「白血球の一種である顆粒(かりゅう)球が急激に減少する無顆粒球症は、クロザピン治療患者の約1%に見られます。軽い感染症でも重症化しやすく、死に至る恐れもあるため、入院直後から定期的に血液検査を行いながら、適切な量へと薬を増やしていきます」と説明する。

 他にも高血糖や糖尿病を発症するリスクが高くなるため、服用に際しては必ず用法・用量を守らなければならない。クロザピンの効果に影響が出ることがあるので、喫煙やカフェインを含む飲み物は控えた方がいいという。

 馬場院長は「近年では、統合失調症をこじらせてしまう前に、早い段階でクロザピンの導入を検討すべきだという考えもあります。もし、統合失調症の治療に行き詰まっていたら、一度主治医に相談してみてください」としている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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