治療・予防

50代から表れる大人の斜視
我慢せず検査を

 物を見るとき、左右の視線が同じ方向に向かわず、片目が別の方向にずれている状態を斜視という。子どもの頃に表れることが多いが、50、60代で症状を自覚することがある。大人の斜視について、阿部眼科(奈良県生駒市)の阿部考助院長に聞いた。

斜視を疑う症状を自覚したら、我慢せずに受診を

 ▽中年以降に自覚

 斜視は、両目で同時に同じ物を捉えることができない。そのため、立体感がつかめない、物が二重に見える(複視)、目が疲れるなどの症状が表れる。生まれつき斜視を持つ子どもは、立体感がなくてもそれを当たり前だと思い症状を自覚することはないが、大人の場合は見え方が変わってしまうので症状をはっきりと自覚することが多い。

 また、左右の視線にずれがあるものの、物を見るときには両目の視線は一致する斜位という状態がある。見る対象が無くぼんやりしているときには両目の焦点が合っていないが、対象物があるときは目を動かす外眼筋を使って寄せたり(輻湊=ふくそう)、開いたり(開散)して、自分でずれを補正している。斜位は自覚症状がないまま無意識にずれを補正していることが多いため、本人も気付きにくい。

 ところが、老化に伴い輻湊や開散の力が衰えてくると、徐々に視線のずれを補正できなくなり、眼精疲労の症状や複視が表れ、最終的に常に左右の視線がずれた斜視に至る。阿部院長は「斜位の人は50歳を過ぎると視機能の衰えから斜視が表れやすくなります。また子どものころに斜視の手術を受けた人は、大人になってから再発することもあります」と指摘する。

 ▽手術や眼鏡が有効

 大人の斜視は、外傷や脳腫瘍、脳梗塞などにより外眼筋にまひが生じて発症するケースが少なくない。また、何らかの理由で左右どちらかの視力が著しく低下した場合、よく見える方の目のみに頼り、長い間使わないことでもう一方の目の視機能が低下して起こる廃用性の斜視が発生することもあるという。

 治療には、まひの有無にかかわらず外眼筋の位置を調整して目の位置を矯正する手術や、プリズムという特殊なレンズを使用した治療用の眼鏡で複視を軽減する方法などがあり、斜視の程度によって選択される。複視だけが突然表れた場合は、麻痺(まひ)性斜視が疑われるので頭蓋内や眼窩(がんか)内の検査が優先される。

 「複視により車の運転ができなくなった、眼精疲労がつらい、外見が気になるなどが大人の斜視の特徴です。我慢しないで眼科で検査を受けてください」と阿部院長は早期の受診を勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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