インタビュー

スキンケアは3分以内で
皮膚科専門医に心得を聞く

 企業の新入社員になったり、大学に進学したりして本格的にお化粧を始めた女性も多いだろう。化粧品に関する情報はあふれているが、注意しないと思わぬ肌トラブルを起こすことも。東京・銀座で皮膚科クリニックを開業し、著書も多い吉木伸子院長は「デリケートな肌を荒らさないためには、成分のシンプルな化粧品を選び、スキンケアはなるべく短時間で済ませましょう」とアドバイスする。

スキンケアは3分以内で(よしき皮膚科クリニック銀座提供)

スキンケアは3分以内で(よしき皮膚科クリニック銀座提供)

 ◇潤い物質を溶かす

 スキンケアに関するトラブルは多い。クレンジング剤で化粧品によるメークを溶かして浮かし、通常はせっけんで洗い落とす。

 「顔の肌の潤いを保っているのは皮脂ではありません。角質層の中にあるセラミドという物質が潤いを保っています」と吉木さん。顔を洗い過ぎると、このセラミドを溶かしてしまう。

 ◇「時短」の落とし穴

 通学や通勤で忙しい朝の時間帯。スキンケアの世界でも、「時短」という言葉がはやりだした。例えば、クレンジング剤の場合「1分でさっと落ちる」「拭くだけで落ちる」などといったうたい文句の商品が人気を集めている。

 吉木院長は「さっと落ちるクレンジングは洗浄力が強い。肌のセラミドを奪い、乾燥肌や敏感肌の原因になることもある」と言う。

 「ワンステップ・クレンジング」といって、ダブル洗顔をしなくてよい便利さをPRする商品もある。吉木院長は「ワンステップのものは、強い洗浄成分を含むことも。クレンジングはやはりダブル洗顔が基本です。クリームかジェルタイプのクレンジングを使い、その後、せっけんで洗いましょう」とくぎを刺す。

吉木伸子院長

吉木伸子院長

 ◇スキンケアはすべて手で

 肌を美しく保つためには、「触らない」ことがとても重要だと吉木院長は強調する。例えば、クレンジングの際に毛穴の汚れをとろうとしてごしごしこする、化粧水を何度もたたき込む、美容液をしっかり押し込む―などの、手で触る刺激が、長年の間にシミやしわを増やしてしまう。クレンジングから保湿まですべてのケアを合わせて3分以内を目指すとよいと言う。コットンなどを使うと肌への刺激になりやすいので、スキンケアはすべて手で行う方がよい。

 さらに、使うアイテムを絞ることも重要になる。洗顔後につけるアイテムは、二つか、多くて三つくらいにとどめること。セラミドを含む美容液を一つつければ、それだけでも保湿は完成する。

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