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「当事者は勇気出し相談を」「周囲は声かけて」
摂食障害の啓発イベント、元女子マラソン代表も登壇―東京

 拒食症や過食症といった「摂食障害」に対する理解を深め、当事者や家族へのサポートを広めようと、日本摂食障害協会主催の啓発イベントが2日、東京・六本木の政策研究大学院大学のホールを会場に行われた。この日は、世界各地で同時に啓発活動が行われる「世界摂食障害アクションデー」。4回目となる今年の啓発イベントは、女性アスリートと摂食障害の問題を中心に、当事者や専門家が議論を深め、元女子マラソン日本代表の原裕美子さん(37)も自らの体験を語った。

 日本摂食障害協会主催の啓発イベントで質疑応答に応じる登壇者。左から2人目は元女子マラソン日本代表の原裕美子さん

 アスリートは一般の人より3倍ほど摂食障害の有病率が高いといわれる。冒頭、あいさつに立った日本摂食障害協会の生野照子理事長は、来年の東京五輪・パラリンピック開催をにらんで同協会が今年度、「健やかな『食』と豊かなスポーツライフ」をテーマにした研修会などに力を入れ、今回のイベントのテーマにも反映させたことを紹介した上で、「アスリートでなくても非常に参考になる話」と、その内容の意義を訴えた。

 基調講演で、公認スポーツ栄養士の小清水孝子大妻女子大教授は、女性アスリートが摂食障害に陥る背景として、過度の減量やオーバートレーニングなどを挙げ、運動量に見合った食事量を取って「体の利用可能エネルギー不足」を防ぐことが、摂食障害の予防にもつながることを紹介した。

 産婦人科医の百枝幹雄・聖路加国際病院副院長は、日本産科婦人科学会や日本スポーツ協会などでつくる「女性アスリート健康支援委員会」が、トップアスリートだけでなく一般の女子選手も対象に、体の利用可能エネルギー不足のサインとなる無月経の予防をはじめとする啓発活動に取り組んでいることを紹介。同協会理事で精神科医の西園マーハ文・明治学院大教授は、摂食障害の当事者には自分が病気だと認めない傾向があるとした上、「周囲が気づいたら、早めに本人に声を掛け、率直に話をして、心配していることを伝えて」と話し、早期治療の必要性を強調した。

 摂食障害の当事者として登壇した原さんは、選手時代の減量苦からの摂食障害が長年尾を引き、菓子などの万引きを繰り返した。今は回復過程にあるといい、「自分のことを打ち明けたことによって、たくさんの人が応援してくれた」と感謝し、平日は会社で働き、休日にはマラソン大会のスタッフやゲストランナーとしての活動機会があると近況を説明。同じ病気で悩む後輩へのメッセージを求められると、「(摂食障害は)一人で悩まず、勇気を出して、信頼できる誰かに相談し、早く治療に移ってほしい」と話した。(水口郁雄)


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