医学生のフィールド

将来のロールモデルになる人を探そう
慶応医学部有志が企画・運営する「明日の教室」

◇女性医師のトップランナーも招く

 稲葉友花さん
  稲葉さん 第5回で初めて女性医師、吉田穂波先生(神奈川県立保健福祉大学教授)をお招きしました。私はこのプロジェクトに参加してから、医師のキャリアについてさらに興味を持つようになり、その中で手に取ったのが先生の本でした。

 吉田先生は国内での研修後、ドイツや英国で臨床を学び、ハーバード公衆衛生大学院で公衆衛生修士号を取得する傍ら、5人のお子さんを出産し仕事と育児を両立されています。

 将来について模索している学生に向けて、女性として、医師として夢を一つ一つ実現されている吉田先生の話をぜひうかがいたいと思い、連絡を取りました。女子の参加者は過去最高でしたが、留学や公衆衛生などの話題は男性にとっても関心は高かったようです。

 宮崎さん 第6回は杉本真樹先生(株式会社Holoeyes取締役COO=最高執行責任者)でした。杉本先生は肝胆膵の腹腔(ふくくう)鏡手術のスペシャリストであり、外科医として医療・工学分野での最先端技術の研究や医療機器開発、教育や人材育成に至るまで精力的に取り組んでいます。

 講演では、ご自身が最新医療テクノロジーを使って開発された手術支援サービス「Holoeyes XR」について説明していただきました。医療補助サービスの提供のあり方や医療ビジネスの実態について若い世代が興味を持てる良い機会になりましたし、先生の熱い思いが参加者を終始、引きつけていました。

 亀苔さん 第7回は慶応義塾大学医学部出身で同大学病院循環器内科専任講師の香坂俊先生でした。香坂先生は、米国の総合内科専門医、循環器内科専門医の資格を取得され、コロンビア大学循環器内科に勤務した経験があります。日米の研修制度や専門医制度、職場環境の違いについて教えていただきました。

 米国の効率的に専門医を育成する仕組みには驚きましたが、医療制度の問題点にも触れられ、説得力のある内容で大変勉強になりました。

 ◇他大学の学生も参加が可能

 講演会終了後の懇談会でも、参加者が集まって質問やディスカッションが続いている
 ―どれも興味深いテーマですね。テーマはどのように決めているのでしょうか。

 稲葉さん 講演会ごとにリーダーを1人決め、その人が中心となって、メンバー全員でテーマや呼びたい先生について話し合っています。現在、運営メンバーは12人ですが、同じ人が繰り返し企画すると、興味の対象に偏りが出てくるので、もっとメンバーを増やして、多様な分野のテーマを取り上げたいと思っています。これまでの企画に興味がなかった人にも、参加して興味を持ってもらえるような企画をしていくことが私たちの目指す団体像だと思っています。

 ―運営メンバーや参加者の条件や資格はありますか。

 宮崎さん 今のところ運営メンバーは慶応の医学部生のみですが、講演会については、テーマに関心がある人であれば誰でも参加できます。「明日の教室」は開始当初から多くの他大学や他学部の学生、高校生、社会人の方に参加いただいており、参加者間でも情報の共有や意見の交換など盛んに交流がなされています。

 ―この活動に共感している人や参加してみたい人にメッセージをお願いします。

 亀苔さん 参加者の方には毎回最後にアンケートで会いたい人を書いてもらっています。本やテレビなどで見て、自分が会ってみたいと思っている人がいても、1人ではなかなか会うことができません。私たちの団体は皆さんの要望を集めて実現することがミッションだと思っています。この活動に興味のある方はぜひ一度ご参加ください。

 ◇次回は9月26日に開催

 「明日の教室」の第8回講演会は9月26日午後6時から、慶応義塾大学信濃町キャンパス 孝養舎401教室で開催。「子どもの知能と心を育む遺伝の力、環境の力」というテーマの下、慶応義塾大学医学部小児科学の高橋孝雄教授が、医師に求められること、医師として働くうえで大切なことについて講演する。参加費無料。

 参加希望者は、以下の申し込みフォームより。

 https://drive.google.com/open?id=1jgjKtAOgVArdgRlHZ9mC1uIidIxRfMJt9ucYpcw4IaA

   参加費は無料。(了)









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