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乳がんチェックへ啓発ダンス
横浜市とTikTokが連携

 「髪はさらさら 胸もキュンキュキュン!」―。10月の「乳がん月間」に合わせ、横浜市は啓発のために「#胸キュンチェック」プロジェクトを展開する。目玉は、同市とショートムービー・プラットフォーム「TikTok(ティックトック)」が考案したダンス。37万人のフォロワーを持つモデルのサラ・コールディさんが、かわいらしい振り付けで踊り、セルフチェックの大切さをアピールしている。

サラさんが乳がん啓発ダンスを披露

サラさんが乳がん啓発ダンスを披露

 ◇11人に1人が罹患

 乳がんは40~50歳代の女性に多く発症し、女性の11人に1人が罹患(りかん)するとされる。横浜労災病院の千島隆司・包括的乳腺先進医療センター長は「乳がんは早期に発見できれば、約90%が治る。早期発見のためには、自分で乳房をセルフチェックしてほしい」と言う。

 ただ、毎日となると実行は難しい。千島センター長は「チェックは月に1回程度でよい」とした上で、「ただし、しこりがあるみたいだと感じたら、すぐに医療機関を受診してほしい」と強調する。

 ◇15秒の動画でアピール

 TikTokのショートムービーは15秒間の短編動画だ。

 運営会社の山口琢也執行役員・公共政策本部長は「ポスター1枚分より多い情報をコンパクトに伝え、広報や旅行、グルメなどさまざまな使い方ができる。敷居が低いプラットフォームなので、楽しみながらやってほしい」と言う。この啓発ダンスは、自治体として初めて横浜市がTikTokと連携協定を結び、生まれた。

 ◇若い世代から発信を

 横浜市は乳がんの発症率が高くなる年代の市民らを対象に、無料の検診を受けられるクーポンをダイレクトメールで送っている。しかし、受診率はあまり高くないという。荒木田百合副市長は「若い世代の女性がお母さんやおばあさんらに、セルフチェックや検診を呼び掛けてほしい」と、ダンスの狙いを説明した。サラさんも「周りのお母さん世代に向けて何か言ってあげることで、『検診に行ってみようかな』と思うし、親子のコミュニケーションも取れる」と話した。

 9月中旬、同市内で開かれたダンスのお披露目イベントでは、サラさんの指導で荒木田副市長も踊りに挑戦。

 サラさん「ここは思い切りぶりっ子してください」
 荒木田副市長「もう、何十年もぶりっ子をしていません」

荒木田百合副市長もダンスに挑戦

荒木田百合副市長もダンスに挑戦

 楽しく掛け合いながら、ダンスをPRした。

 ◇元SKE48の矢方さんも乳がん

 イベントには、25歳の時に乳がんで左の乳房を全摘出した元SKE48のメンバーでタレントの矢方美紀さんがメッセージを寄せた。

 この中で矢方さんは「今年の4月で手術から1年がたち、すごく考えることがある。乳がんに気づいたきっかけはセルフチェックだった。義務感からやるのではなくて、今の自分の体を知るために必要なものだと思ってほしい」と話し、「TikTokは若い世代が見ている印象がある。何年か後に、『そう言えば、胸キュンというのがあったな』と考えるきっかけになると思う」と続けた。(鈴木豊)

〔動画〕乳がんチェックの啓発ダンス-横浜市


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