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第40回 「座りっ放し」で高まる「うつ」リスク ~仕事の合間に身体を動かす大切さ~

 この時期、ストレスチェックを行う企業が増え、組織状況の分析を見る機会も多くなります。

 その中で、経理業務など、いわゆる内勤で、座りっ放しの作業をする職務の人が多い組織では、環境要因としてのストレスが大きい傾向にあり、気になることがあります。

電話のオペレーターも座りっ放しの仕事【時事通信社】(本文と直接関係はありません)


 ◆残業が多くなくても

 産業医の面談をしていて気が付くのですが、残業時間がそれほど多くなくても、精神的疲労度が高いのは、経理などで1日中、座位で作業をする場合です。

 営業職やその他、外で仕事をする人の場合は、「こんなに残業が多くて大丈夫かな」と、心配するような残業時間の数字でも、精神的な健康が比較的、保たれていることがあります。

 もちろん、個人のストレス耐性や職場のコミュニケーションなど、その他の要因も関係します。それでも、座りっ放しが心の健康に関わることは最近、注目されています。

 中程度以上の運動をするなど、座りっ放しの状態で過ごす時間を減らすことが、うつ状態の緩和に役立つとの研究結果が、2010年から14年にかけて、相次いで報告されています。

 ◆暮れにかけて要注意

 心の健康には、テレビの視聴時間や、パソコンの利用時間が影響することも、報告されています。こうした座りっ放しの状態が、問題といえそうです。

 座りっ放しの時間が短いほど、抑うつ度が低下し、精神的に健康度が高いとされています。生活の中で、いかに座りっ放しを改善するかが、うつ予防に大事なポイントといえるでしょう。

 ですから、残業時間などを調べて、単に数字だけを見て「このくらいなら大丈夫だろう」と考えるのは、問題があります。

 暮れにかけて、決算や年末調整の経理処理などが重なり、体調を崩す人が増えます。パソコン作業をしていて、気が付かないうちに時間が過ぎていた、と感じる人も多いと思います。こういう状況が継続するときは要注意です。


 ◆工夫する企業も

 ただ、経理中心の業務を行っていても、心の健康状態が良好だと感じる企業もあります。私が関わっている企業にもあります。そうした企業は、どんな工夫をしているのか。具体的な事例を以下にまとめてみました。

 (1)1日に何度か身体を動かす

 朝の始業時間の前にラジオ体操の音楽を流す。自由参加で身体を動かしたい人は、自分なりにストレッチをする。ラジオ体操をしない人でも、その時間はかなり自由に伸びをしたりして、身体を動かす機会をつくることができる。強制的ではなく、あくまで始業前に深呼吸をしたり、体を伸ばしたり、緩めたりすることを目的にしている。


 (2)健康・運動イベントを頻繁に企画

 健康イベントというと堅い感じがするが、「あくまで楽しく興味を持って」参加できるような企画を定期的に行っている。参加したくなるようなイベントが、昼休みなどに行われている。例えば、「自分の身体の柔軟度年齢」などの測定をする企画は、参加者も多く、盛り上がっていた。こうしたイベントは、身体を動かすだけでなく、社内コミュニケーションの改善にも、役立っていると思われる。押し付けでなく、自発的に参加できることが大事。

 (3)健康・運動イベントの企画を社内で募る

 こうしたイベントの企画を社内で募集している。選ばれた企画の応募者と総務が一緒にイベントを実行することで、さらにコミュニケーションの輪が広がる。

 (4)目標達成をゲーム感覚で楽しむ

 身体を動かすことに関して、自分なりの目標をつくる。目標はあくまで自由で、例えば、週2回ジムに行く、1日4000歩を歩く、毎朝ストレッチをする、階段を毎日3階まで歩くなど。小さな目標でいいので、それを自己申告し、8割ほど達成できた場合、賞品が出るというイベント。秋は10月から12月末まで、3カ月間の目標などとしている。賞品は高額なものではなく、あくまで自分の身体活動を増やすことに目を向けることが目的。

写真はイメージです【時事通信社】


 ◆1時間に1回くらいは

 身体を緩めると、気分は変わります。デスクワークが続く仕事の人は、1時間に1回くらいは、立ち上がって伸びをしたり、体をひねったり、首を回したりしましょう。

 こうして身体を動かすことを「さぼっている」「集中していない」と、とらえる風潮は危険です。

 デスクワーク中心の職場は、午前と午後にそれぞれ、時間を決めてストレッチタイムをつくるくらいのことは、してほしいとも思います。

 私は、社内にストレッチ用のヨガベルトなどを置いて、自由に使えるようにすることなども提案しています。

 寒くなると、閉じこもりがちになります。デスクワークの多い人は、せめて昼休みは身体を動かしてほしいと思います。

(文 海原純子)

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